JR博多駅(福岡市)に隣接する「博多バスターミナル」(地上9階、地下1階建て)が開業から60年を迎え、8月21日、記念式典が開かれた。九州各県や東京、大阪を結ぶ長距離バスなどの発着点として親しまれ、近年は訪日客の利用も増えている。入居するテナントの売り上げの合計は昨年度、過去最高となった。
テナント売り上げ 昨年度に最高113億円
式典では、運営会社の藤田浩展(ひろのぶ)社長が「苦労した時期もあったが、好調な中で還暦を迎えられて大変うれしい」と語った。
お笑いトリオ、ロバートのメンバーで北九州市出身の秋山竜次さんが一日館長に就任し、「間に合うのであれば今日、少し(施設を)増築したい」などと冗談を言って笑わせた。
1978年からターミナル内で喫茶店「Cafeバンカム」を営む榎原鐵二さん(78)は「韓国などアジアからの来店客が目立つようになり、喫煙可能店という珍しさから、『韓国で有名ですよ』と教えてもらったこともあった」と語る。昭和レトロブームで若者の姿も増え、ふわふわのスフレケーキ(ブレンドコーヒー付き、税込み900円)が人気を集めているという。
現在、1日に約2500台の路線バスや高速バスが行き交い、1日の平均来館者数は約7万人に上る。館内には衣料品店や100円ショップ、スーパー、飲食店など60近くのテナントが入居。上層階のアミューズメント施設を目当てに訪れる訪日客も目立ち、2024年度のテナントの売り上げは計113億円に達した。
苦労乗り越え成長
1965年8月1日、地上3階、地下1階建てで、日本初の立体バスターミナルとして開業した。現在は一帯にオフィスビルなどが立ち並ぶが当時は少なく、集客策としてゴルフ練習場やマージャン施設を設けた時期もあった。
99年に増改築工事を行い、2011年の九州新幹線の全線開通に合わせて2階に駅ビルと直結する歩行者用通路を整備すると、2階入り口から多くの人々が来館するようになった。増改築に合わせて耐震補強を行っており、当面、現在の施設を活用していく方針だ。