書き損じはがきでカンボジアを支援 地雷撤去や教育の資金に
記事 INDEX
- はがきで命を救う活動
- 地雷被害ゼロを目指し
- 子どもの笑顔のために
未使用のはがきや切手を換金して地雷撤去や教育の資金に――。カンボジアの支援を続けている一般財団法人「カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)」(福岡市)が、書き損じた年賀はがきなどの提供を呼びかけています。寄せられたはがきや切手などを換金し、現地で活動している団体に寄付します。
はがきで命を救う活動
「たくさんのはがきが全国から届いています」。福岡市早良区にあるCMCのオフィスを訪ねると、理事長の大谷賢二さんがはがきの束を見せてくれました。各地の学校や個人などから託されたものです。
募っているのは、書き損ねた未投函(とうかん)の郵便はがきのほか、未使用の切手とテレホンカードです。「はがきは昔のものでも大丈夫」と大谷さん。大掃除の際に出てきたはがきなどがあれば送ってほしいそうです。
2021年度は全国の小中学校など214団体と2612人から、計1479万3457円分が寄せられました。
地雷原1平方メートルをクリーンにするのに100円ほどが必要とのこと。「はがきが3枚集まれば、1平方メートル分の除去ができる」といいます。
地雷被害ゼロを目指し
CMCは1998年に設立。カンボジアを訪れた大谷さんが多くの地雷被害者と出会ったことをきっかけに、「地雷被害をゼロ、被害者支援、子どもたちの教育支援」といった使命を掲げました。
カンボジアには、内戦時に仕掛けられた地雷や不発弾が数多く残り、爆発による被害が今も絶えません。撤去のほとんどが手作業で、地雷をすべてなくすには長い年月がかかります。
現地では、カンボジア政府組織やNGOなどの団体が地雷撤去を進めています。大谷さんらは全国からの善意を活動資金に換え、これらの団体に直接寄付しています。
大谷さんによると、地雷・不発弾による被害は約30年前のピーク時に比べて80分の1ほどに減ったといいます。しかし、「地雷が埋められた地域はまだ残ったまま。これからも地雷被害ゼロを目指します」と話します。
子どもの笑顔のために
CMCは教育支援も行っており、地雷を撤去して安全になった土地に、小学校3校、中学校2校を建設してきました。
コロナ禍前はカンボジアを度々訪れていた大谷さん。昨年11月、現地を2年9か月ぶりに訪問することができたそうです。
訪問先は運営を支援している学校など。今回は、2008年に建てた中学校の新校舎落成式に参加する機会もありました。生徒数の急増を受けて増築されたそうで、式典では大勢の子どもや保護者から歓迎を受けたといいます。大谷さんは「子どもたちは笑顔でした」と振り返ります。
2023年は日本とカンボジアの友好70年の節目です。
大谷さんが活動を始めた頃からすると、教育水準は格段に上がったそうですが、都市部と農村との格差拡大など課題も残ります。地雷撤去の支援を含めて、大谷さんは「これからも活動を続けなければならない」と話し、協力を呼びかけています。
1月15日は、今年のお年玉付き年賀はがきの当選発表日でもあります。はがきなどを整理した際、カンボジアの役に立ちそうなものが見つかれば、寄付をしてみてはいかがでしょうか。
【送付先】
〒814-0002
福岡市早良区西新1ー7-10-702
カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)事務局