韓国で人気沸騰! 話題の「レシート写真機」が福岡パルコに
記事 INDEX
- 誰でも気軽に無料で
- 時代の逆を行こう!
- 「リアル」を共有する
韓国でトレンドとなっている「レシート写真機」をご存じだろうか。箱形のカメラで撮影した写真が、レシート用紙にモノクロでプリントされる。その写真機が、福岡市・天神の福岡パルコ本館7階に登場し、SNSや口コミで話題を集めている。いったい何が若者たちに受けているのだろうか――。店を訪ねて探ってみた。
誰でも気軽に無料で
写真機は、衣料品などを扱う店「SUPER SPINNS(スーパー スピンズ)」にある。韓国の人気アイテムをそろえるコーナー「1wol7il(ウォルイル)」に7月中旬に置いた。
使い方は簡単だ。写真機の画面に自身の姿を収めてタッチするだけで、写真を印刷したレシート用紙がすぐに出てくる。誰でも気軽に無料で楽しめることが、人気の一番の理由のようだ。
店の写真機を利用する人の3割は、TikTokなどで知って訪れるという。設置から間もなく存在を知らない人も多いため、館内放送や店のスタッフによる声掛けでPRしている。学校が夏休みに入り、最近は平日でも行列ができることがあるそうだ。
福岡市南区の高校1年の女子生徒(15)はTikTokで知り、「友達と一緒に撮ってみたい」と訪れた。「モノクロで“普段の感じ”が出るのがいい。画質が粗いのも”味”がありますね」と笑顔を見せた。2人で4枚を撮り、うち1枚を「記念に」と店の壁に貼って帰った。
時代の逆を行こう!
国内では、東京や大阪のおしゃれなカフェから広がったレシート写真機。最近では結婚式の演出としても人気があるといい、「おじいちゃん、おばあちゃんが楽しそうに写っていてうれしかった」「写真が印刷されるのでゲストにも楽しんでもらえる」と喜ばれているようだ。
韓国のトレンド商品を扱う「IZUMIC(イズミック)」(東京)によると、レシート写真機は国内でも今年に入って使われ始め、この数か月で一気に盛り上がっているという。現在は結婚式でのレンタル(1泊2日で2万7580円など)が主流だが、法人向けに販売(1台30万円前後)も行っているとのことだ。
繊細な描写が可能なカメラが次々と登場する中、レシート写真機は画質の粗さが一つの”売り”になっている。画像データは残らず、SNSでの共有もできないレア感が価値を生んでいる。その時、その場だけ――。そんな「時代に逆行するものが、今なら受け入れられるのでは」と考えたのが、韓国での誕生のきっかけだったという。
目を大きく見せるといった「盛る」加工はもちろんできない。「映える」の逆を行く「ありのまま」が新鮮なのか、若者の支持をじわじわ集めているようだ。
「リアル」を共有する
若い世代の流行などを研究している「Z総研」が6月上旬に発表した2024年上半期のトレンドランキングでは、フランス生まれのSNS「BeReal.(ビーリアル)」が「流行(はや)ったコト・モノ」の部門で1位に輝いた。
ビーリアルはその名の通り、「ありのまま」を共有するSNS。利用者は1日に1回、ランダムに送られる通知を受けて2分以内にスマートフォンのカメラで身の回りのものなどを撮って投稿する。これができなければ、ほかの利用者の投稿は見られない。
スマホやカメラの機能が充実し、思いのままの写真を簡単に演出できるようになった一方で、”加工疲れ”があるのだろうか、「リアル」な写真にエモさを感じる若者も増えているらしい。
街なかのカフェやイベント会場で、レシート写真機を目にする機会がこれからもっと増えてくるのだろう。ありのままの写真を手に、声を弾ませる女性たちを見て、そう思った。