とにかく個性派ぞろい! いろんな遊具に会える北九州の公園
記事 INDEX
- 地域のストーリーを
- まるで現代アート!
- 住民に愛される場所
「北九州市には個性的な遊具のある公園が多い」――。そう耳にしたことがある。SNSなどで調べると、一風変わったオブジェのような遊具がいくつか見つかった。なるほど、公園そのものがインスタ映えしそうだ。北九州で8年ほど暮らした記憶をたどりながら、市内の公園をぐるっと回ってきた。
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地域のストーリーを
市によると、規模が小さいものも含めて市内には1719か所に公園があるそうだ。住民1人当たりの公園数では政令指定都市で全国5位(2020年)に入るのだという。
各公園に個性的な遊具が置かれている背景には、設計に携わる各区の担当者が、それぞれの土地ならではの地域性を織り込んでいることもあるようだ。
2006年に廃止された北九州空港の跡地そばにある小倉南区の葛原東ふれあい公園。ここには往時をしのぶように、飛行機を模した遊具が設置されている。
八幡西区の岡田公園には、400年以上の歴史を誇る黒崎祇園山笠(やまかさ)を思い起こさせる神輿(みこし)形の遊具がそびえていた。
かつて九州の玄関口として列車がにぎやかに行き交い、九州鉄道記念館もある門司区。西新町公園には、蒸気機関車を模したカラフルな遊具がある。
児童文化科学館があった八幡東区の桃園公園・わんぱく広場には、恐竜や巨大なカブトムシのほか、ロケット形の遊具や宇宙人を想像させるオブジェが並んでいる。
市内の児童たちに「こんな公園があったらいいな」という案を募り、集まった約1000点のアイデアを参考にしたそうだ。中には、滑り台でそのまま池に入ったり、ターザンのように木々を飛び移ったりできる遊具の案も寄せられたという。
まるで現代アート!
「この公園になぜ、こんなものがあるのだろう?」。謎解きのように不思議で、遊び心のある遊具にも出会った。
真新しい遊具が並ぶ広場に、色鮮やかなニンジンやキャベツ、オレンジなどのオブジェが点在するのは小倉北区の三萩野公園。どんな遊び方を想定して設置したのだろうか、ベンチの代わりなのだろうか――。
同区の住宅街にある真鶴公園では、現代アートの作品のような遊具が存在感を放っている。公園を横切って帰宅中のおばあさんに尋ねてみた。「さぁ、何やろうかね。象のようにも見えるけど。学校が終わった子どもたちがよじ登って遊んでるよ」
関門海峡のそばに位置する門司区の新九郎公園にも、滑り台と一体化した現代アートのような遊具があった。ここで週3回ほど遊ぶ小学3年の中本直樹君(9)は「アリ落とし」という遊びが大好きだという。滑り台の上に並んで座った友だちの脚を、アリ役が下から引っ張って落とすのだと、ルールを丁寧に教えてくれた。
地域に愛される場所
北九州市は、公園の再整備について15年ほど前からワークショップを開いている。住民たちのアイデアに耳を傾け、地域に求められる公園づくりを進めるためだ。
子どもが多いエリアでは遊具の数を増やしたり、お年寄りが目立つ地域では健康面を考慮した器具を配置したり――。地域密着型の公園整備を進める北九州市には、他都市からの視察も多いそうだ。
今回訪ねたのは、北九州市内の約30か所の公園。手入れが行き届いた小さな花壇に、かわいらしい花が咲いているところもあった。規模は大きくないけれど、地域の人たちに長く愛されているのだろうな、そう感じさせる公園が各地にあった。
懐かしさを覚えたり、シュールで謎めいていたり、和ませてくれたり、それぞれに様々な”表情”をもつ遊具。そのどれもが、公園の主役である子どもたちを「さぁ、おいで!」と迎えているように見えた。