クッキー?いいえ「区ッキー」です 北九州市をおいしく表現
記事 INDEX
- 北九州だからこそ
- 苦戦したのは……
- 百貨店催事に登場
北九州市の7区を表現したスイーツ「区ッキー」を、菓子をオンライン通販する「あしかクッキー」(北九州市小倉北区)が考案しました。5市合併で誕生した北九州市は今年、市制60年の節目。「お菓子を通じて広く発信したい」と、6月7日から本格的に発売します。
北九州だからこそ
「北九州にいるからこそできることを、何かしたいなぁと思っていました」
あしかクッキーの田村奏子さん(44)は開発の経緯をそう明かします。
奏子さんは、夫の章吾さん(40)が2013年に創業したウェブ制作会社「ましじめ」(北九州市)で、ウェブデザイナーとしても勤めています。同社の新規事業として、22年1月に産声を上げたのが、あしかクッキーです。
「あしか」は、長男の碧生(あおい)君(9)、章吾さん、奏子さんの名前から1文字ずつ取って命名。家族で一緒に何かを達成する喜びを経験できるようにと、絵を描くのが好きな碧生君にもパッケージのデザインなどで関わってもらいました。
奏子さんにとって菓子作りは中学生の頃からの趣味。かつて多忙な職場で働いていたときも、休日にクッキーを焼くのが息抜きだったといいます。「自身も楽しく、食べてくれる人にも元気を届けたい」と、改めて菓子に向き合うことにしたそうです。
新たな事業を始めて1年ほど。クリスマスをはじめ季節に合わせたデザインの缶入りクッキーなどを販売してきましたが、次第に、自身が住んでいる地元にちなんだ商品を作りたいと考えるように。北九州市の7区を七つのクッキーで表現できるのでは、と試作を重ねて5月に完成しました。
苦戦したのは……
クッキーの型は、章吾さんが操る3Dプリンターで試作を繰り返しました。当初はなかなか、生地をきれいに抜くことができなかったそうです。
「戸畑が小さくて、型からうまく外れませんでした」
章吾さんの出身地でもある戸畑区。家族にとっても思い入れのある場所ですが、7区のうちで最小です。その面積は約17平方キロメートルと、市全体の約3%に過ぎず、最も大きい小倉南区の10分の1にも及びません。
作りやすいように戸畑を大きくすると、小倉南がさらに大きくなります。全体のバランスを考え、戸畑を長さ約3センチ、小倉南は約8センチとなるようにしました。
見た目にこだわりつつ、子どもが安心して食べられるように、野菜などの粉末を使ってカラフルに仕上げました。門司はニンジン、小倉北はココア、小倉南は紫芋、若松は抹茶、八幡東はカボチャ、八幡西は紅茶、戸畑はイチゴです。
ベーキングパウダーは用いず、通常のクッキーより低い温度で時間をかけて焼きました。こうして「サクッとした食感で、野菜の自然な甘さが感じられる優しい味」に仕上がりました。
百貨店催事に登場
田村さん一家は結婚後10年ほど、小倉北区で暮らしています。奏子さんは福岡県川崎町の出身ですが、「すっかり北九州が古里のような感覚。区ッキー作りで各区での思い出も浮かび、改めて愛着を感じました」。
区ッキーは、3袋入りで税込み1188円。小倉井筒屋(北九州市小倉北区)の催事「きたきゅうフェスティバル」(5月31日~6月12日)に、6月7日から出店する予定です。ここから本格販売がスタートします。
田村さん一家は区ッキー作りを通じ、一緒に各区のことを話す時間が増えたとのこと。「住んでいる区には詳しくても、他の区のことは知らないという市民の声もよく聞きます。区ッキーを味わいながら、各区の話題で盛り上がり、それぞれをよく知る機会になればうれしい」と願っています。
区ッキーは、あしかクッキーの公式サイトでも詳しく紹介しています。