がんと闘う子どもと家族の力に 支援の「レモネード」販売

レモネードスタンドへの協力を呼びかける添田さん

記事 INDEX

  • 旅立った次女の思いを継ぎ
  • 「小児がんに関心を持って」
  • 6月11日、ゆめタウン博多で

 小児がんで7歳の娘を亡くした福岡市城南区の自営業、添田友子さん(45)が、同じ病気の子どもや家族を支援する講演活動や地域の交流の場づくりに取り組んでいる。「人の役に立ちたい」と語っていた娘の思いを継ぐためで、6月11日にはレモネードを販売して啓発や寄付を募る活動「レモネードスタンド」で協力を呼びかける。

旅立った次女の思いを継ぎ

 添田さんの次女、千歳さんは3歳のときに急性リンパ性白血病と判明した。いったんは回復して小学校に入学したものの再発し、2018年8月に他界した。


小児がんで亡くなった千歳さん(添田さん提供)


 千歳さんは幼稚園教諭になるのが夢で、入院先の病院に幼い子が入ってくると遊んであげていた。「病気になった子の気持ちが分かるから、役に立ちたいな」と、口癖のように語っていたという。亡くなる直前には、米国で生まれた支援活動「レモネードスタンド」に自ら参加して街頭に立った。


 千歳さんをみとった後、添田さんは悲しみで人と会うのを避けるようになった。元気な子どもたちの姿を見るのがつらくて、長女の授業参観に足が向かなかった時期もあったという。


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「小児がんに関心を持って」

 転機はレモネードスタンドだった。企画した近所の母親に誘われて参加し、最期の千歳さんの姿を思い出した。「千歳の分まで頑張らなくては」と、がんの支援団体が開く活動に足を運ぶようになった。

 昨年1月には、同市城南区に駄菓子屋「ハンドメイドとだがしの家ちとせや」を開いた。地域の人が集う拠点をつくり、「人を喜ばせたい」と言っていた千歳さんの思いを形にするためで、店内には小児がんの啓発ポスターを貼り、支援を呼びかける募金箱も置く。がんで子やきょうだいを亡くした家族が体験を語る場にもなっている。


福岡大で学生たちに経験を語る添田さん


 講演活動は、20年夏に始めた。人前で経験を話すのはつらかったが、知り合いから「コロナ禍で実習に行けない看護学生に語ってほしい」と頼まれ、「千歳に背中を押された」と決断。小学校や大学などで語ってきた。


 6月5日に同市城南区の福岡大で行われた講演では、「千歳は、たくさんの人の温かさに支えられた。小児がんに関心を持ってくれる人が増えれば、闘病中の子どもや親の力になる」と訴えた。

6月11日、ゆめタウン博多で

 11日のレモネードスタンドは、午前10時~午後4時に同市東区の商業施設「ゆめタウン博多」で行われる。闘病中の子どもと家族らが一緒に泊まる「子どもホスピス」を県内に設置する構想があり、今回の浄財の一部をその活動費にも充てる予定だ。

 問い合わせは、NPO法人福岡子どもホスピスプロジェクト事務局(080-3985-5106)へ。


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