コワくて知りたい「毒」の世界 福岡市科学館で特別展が開幕

イラガの幼虫の拡大模型などが目を引く会場

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  • 標本や格言まで250点
  • 毒になるか薬になるか
  • HKT48やクイズ企画も

 世界各地の危険な生物から身近な食中毒まで、あらゆる「毒」を紹介する展覧会が10月11日、福岡市科学館(中央区六本松)で開幕しました。その名も、特別展「毒」。東京や大阪で話題を呼び、福岡は全国4か所目です。主催者は「この世界は毒だらけ。上手な付き合い方を考えるきっかけにもしてほしい」と来場を呼びかけています。

標本や格言まで250点

 特別展「毒」は、東京・国立科学博物館で2022年11月~23年2月に初開催され、30万人を動員するなど人気を博しました。


九州初上陸となる特別展「毒」

 今回は、動植物や鉱物の標本、剥製(はくせい)、模型など約250点を展示。自然界のあらゆるところに存在する毒について、動物学や植物学、地学、人類学、理工学の各分野のスペシャリストが徹底的に掘り下げ、解説します。


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毒になるか薬になるか

 会場は、第1章「毒の世界へようこそ」など、全5章で構成されています。

 第2章「毒の博物館」では、毒を持つ生き物の拡大模型を展示。実物の約40倍のオオスズメバチ、約70倍のセイヨウイラクサ、約100倍のイラガの幼虫などの模型が、迫力たっぷりの姿で来場者を迎えます。


毒を持つ生き物を標本や模型で紹介

 ハナミノカサゴなどの生体、毒キノコや毒の原料となる鉱物のほか、海洋ごみのマイクロプラスチックといった人間が作りだした毒も並びます。

 第3章「毒と進化」では、毒が進化の原動力になった生物を紹介。かわいらしい見た目で人気のコアラが、毒に耐える体内の働きにより、有毒植物のユーカリを食物としていることなども解説します。


パラケルススの言葉などを画面で紹介

 第4章「毒と人間」では、「あらゆる物質は毒になる。毒か薬かは、使う量による」というスイスの医学者・パラケルススの言葉などを紹介。終章「毒とはうまくつきあおう」では、現在の人間の活動が新たな毒を招いていることにも思いをはせます。

HKT48やクイズ企画も

 音声ガイドは、「呪術廻戦」出演でも知られる人気声優・中村悠一さんがナビゲーターを務めます。人気アニメ「秘密結社 鷹(たか)の爪」とのコラボ企画や、クイズ王・伊沢拓司さんが率いる東京大学発の知識集団「QuizKnock(クイズノック)」が出題するクイズもあります。


開会式でテープカットするHKT48のメンバーら

 10月10日に行われた開会式には、オフィシャルサポーターを務める女性アイドルグループ「HKT48」の5人も参加。関係者とテープカットをして、開幕を祝いました。

 福岡会場を訪れた特別展の監修統括、細矢剛・国立科学博物館植物研究部長は「怖いもの見たさがきっかけでも、科学的な解説とともに『これも毒?』と気づいてもらえるような、いい意味で期待を裏切る展示。『毒とはうまくつきあおう』という明確なメッセージも、来場者に受け入れられているようです」と話しました。


見どころを語る細矢さん

 東京では「アルコール」、大阪では「花粉」がSNSで想定以上の反響だったそうで、「福岡でも思い思いに楽しんでほしい。何が注目されるのか、こちらも楽しみです」と期待していました。


「精神毒の一種」として紹介されるアルコール。「信じない」という声もあったとか

 特別協賛したシャボン玉石けん(北九州市)も、会場の一角で合成洗剤と無添加せっけんの違いを紹介。担当者は「日用品と肌や環境への影響にも思いを巡らせてもらえたらうれしい」としています。なお、10月11~14日は来場した各日先着100人に歯磨き粉を贈るとのことです。


オリジナルグッズも販売

 特別展は2025年1月13日まで。会期中は様々な関連イベントが予定されています。10月12日15時からは細矢さんと矢原徹一・福岡市科学館長による対談「毒をもつ生物の戦略」(聴講無料、11日15時までの事前申込制)、11月2日には昆虫博士・丸山宗利さんの講演会「昆虫採集と危険な生き物」(チケット=500円=の事前購入が必要)が開かれます。


人気の「毒まんじゅう」。毒は入っていないという

 11月4日はワークショップ「薬草風呂の素をつくろう」(参加無料、事前申込制)、12月14日はサイエンスカフェ「わさびのきた道」(聴講無料、事前申込制)を予定。公式サイトで案内しています。


特別展「毒」をPRするHKT48のメンバー



イベント名 特別展「毒」
会期 2024年10月11日(金)~25年1月13日(月・祝)
※休館:火曜(12月24日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)
時間 9:30〜18:00
※入場は17:30まで
会場 福岡市科学館
3F 企画展示室
(福岡市中央区六本松4-2-1)
料金 一般:1800円
高校生:1200円
小中学生:600円
未就学児:無料
公式サイト 福岡市科学館


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