ぬくもり届ける「声の市政だより」 福岡市テープの会が発足50年

月1回の勉強会で、単語のアクセントなどを確認する会員ら

 福岡市が毎月2回発行する市政だよりを、視覚障害のある人向けに音声で伝えるボランティア団体「福岡市テープの会」が1月、発足から50年を迎えた。これまで100人以上が参加し、「声の市政だより」の発行を途絶えることなく続けてきた。AI(人工知能)の音声読み上げも普及しつつあるが、「ぬくもりのある声を届けたい」と活動に力を入れている。

約240の団体・個人に

 現在の会員は20人。福岡市が毎月1日と15日に発行する市政だよりや、年5回発行の市議会だよりを音声で伝える「音訳」を行うほか、視覚特別支援学校向けに絵本や専門書などの録音図書にも取り組んでいる。

 会は1976年1月に結成され、同年10月に「声の市政だより」第1号を発行した。記録では、点字の利用者から「冬は指先が冷たい」と音読を依頼されたのがきっかけとされる。カセットテープが主だったが2019年に終了。現在は読み上げの速度を変更したり、特定のページにすぐに移動できたりする「デジタル録音図書」やCDを製作し、市社会福祉協議会が約240の団体や個人に発送している。

 市政だよりの音訳では、市から事前に原稿を受け取り、収録は会員がそれぞれの自宅で行っている。市の施策のほか、予防接種などの手続き、子育てや健康に関するイベントなど生活に密着した情報が掲載されており、読み上げは毎号6~7時間に及ぶという。1号あたり7人で分担し、1週間ほどで収録している。


音声を収録した「声の市政だより」


 会員になって約30年という桐原美枝さん(78)は25年10月、50年前の第1号から聞いているという70歳代の男性に偶然出会い、「福岡市のことを知っておきたいので市政だよりは便利。必ず聞いている」と励まされたという。桐原さんは「一番大事なのは間違った情報を届けないこと。人名や地名は慎重に確認し、きちんと読むようにしている」と説明する。


新しい仲間を募集中

 会では毎月、福岡市市民福祉プラザ(ふくふくプラザ、中央区荒戸)で勉強会を開き、単語のアクセントや話すスピードなどを学び合っている。25年5月に入会した柴田伸子さん(61)は「60歳で退職し、『第二の人生』と思って始めた。これまで発音なんか気にしたことはなかったけど、知ることは楽しい」と話す。

 現在、会員を募集しており、清原裕子代表(67)は「音読や朗読が好きな方もいるし、おなかから声を出すので運動にもなる」と参加を呼びかける。AIで文書を音声に転換するサービスなどもあるが、清原さんは「AIは進化しているが、ぬくもりのある声を届けたい。私自身も声が出る限り続ける」と決意を新たにしている。

 問い合わせは、市社会福祉協議会ボランティアセンター(092-713-0777)へ。


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