現役NASAエンジニア石松拓人さんが宇宙を語る

記事 INDEX

  • 石松さんはこんな人
  • どんな仕事してるの?
  • 子どもたちへのメッセージ

 1969年に人類初の月面着陸に成功したアポロ11号のミッションから50年を迎えたことを記念して、福岡市科学館で特別講演会が開かれました。講師は福岡市出身の石松拓人さん。米国カリフォルニア州のNASAジェット推進研究所で働く現役エンジニアです。石松さんはどうしてNASAに入ったのか、今どんな仕事をしているのか――。 8月7日 に行われた講演を聞いてきました。


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「地球のみなさんこんにちは」 石松さんはこんな人

 石松さんは福岡市中央区薬院生まれ、薬院育ち。幼い頃からスペースシャトルにあこがれて、NASAで働きたいという夢を抱き、学校の図書室で宇宙の図鑑を読んでいたそうです。修猷館高校に在学中、映画『アルマゲドン』を観て、米マサチューセッツ工科大学(MIT)への留学を意識し始めます。東京大学の航空宇宙工学修士課程を修了後にMITへ留学し、念願だったNASAへの就職を果たしました。
 音楽と将棋も大好き。「宇宙以外ではこの2つぐらいしか興味がなくて・・・」と話していましたが、音楽は自宅で作曲・録音もするそうで、制作数は30曲以上。将棋は2019年全米大会で5位という実力です。すごい!


宇宙について解説する石松さん

宇宙には誰かいるの?

 石松さんの仕事を簡単に紹介すると、「火星のサンプルを地球に持って帰る」チームの一員です。現在働いているNASAのジェット推進研究所は無人探査機の研究や開発、運用を主に行っている機関で、2020年に「マーズ2020」という無人探査機を打ち上げる予定です。 これは宇宙に生き物がいるかどうかを調べるプロジェクトで、火星に生命の痕跡を見つけることができれば、歴史に残る大発見になります。
 講演で石松さんは、「我々はひとりぼっちなのか?これだけ広大な宇宙に誰もいないと考える方が不自然」と、自分が向き合っている仕事のロマンを語りました。

子どもたちは興味津々

 今回の講演会の定員は200人でしたが、約600人の応募があったそうです。急きょ、約80人が入れるサテライト会場も用意されました。「NASAで働きたい!」と夢を描く子どももいて、講演後の質問コーナーでは多くの手が挙がっていました。宇宙がさらに身近に感じられたこの日を機会に、福岡から宇宙を目指す人材も増えるかもしれません。


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福岡の子どもたちへのメッセージ

 石松さんは講演会終了後の控え室で、「子どもたちに言い忘れた」と苦笑いしながら、という夢を叶えられた理由を、例え話で教えてくれました。

 アフリカのある地に“100%雨を降らせることができる民族”がいるらしく、不思議に思ったアメリカの研究者が現地を調査することにしたそうです。実際に日照りが続いた時期に、その民族は雨を降らせるダンスを踊り始め、雨乞いを行いました。1日、2日、3日・・・・・・。休まずに踊り続けたある時、ポツリポツリと雨粒が落ちてきて、最後には大雨になったといいます。

 雨が降るまで雨乞いダンスをやめないから成功率100%というわけです。石松さんは「あきらめなければ、実現できないことはありません。自分の夢が叶うまで挑戦し続けられるか、自分自身に問いかけてみてください」と呼びかけていました。


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