三池炭鉱で石炭の運搬などに使われた電気機関車の展示施設「炭鉱電車ステーションゼロ」が福岡県大牟田市北磯町に完成し、4月12日、記念式典が開かれた。炭鉱の歴史を伝える拠点にしようと、トラック輸送などを手がける同市の白石自動車が整備した。
三池炭鉱の「炭鉱電車」は、同市と熊本県荒尾市が炭鉱跡で展示、公開しているが、民間による展示施設は初めてという。
電気機関車は、1917年製の11号(20トン)と37年製の19号(45トン)。97年の三池炭鉱閉山後も三井化学大牟田工場の専用鉄道で原料などの運搬に使われ、2020年まで活躍した。
白石自動車は22年12月、三井化学が保管していた機関車2両を無償で譲り受けた。駐車場として使っていた約2000平方メートルの敷地に、機関庫やギャラリー棟、売店などを整備。敷地内に炭鉱専用鉄道の起点を示す「ゼロキロポスト」の標識があったことから、施設名に「ゼロ」を入れた。
約3200本の枕木や整備用の工具なども譲り受け、機関庫などで展示している。ギャラリー棟は、写真や年表などで炭鉱の歴史を伝える展示内容となっている。
式典には、大牟田市や三井化学、白石自動車などの関係者約100人が出席。同社の白石政嗣社長が「大牟田の発展の基礎をつくり上げた炭鉱電車を知らない若者や次世代の子どもたちに伝えていきたい」とあいさつし、機関庫前でテープカットとくす玉を割って完成を祝った。
その後、敷地内に復元された約50メートルのレールを、モーターカーに引かれた19号が汽笛を鳴らしながら走行する様子が披露され、出席者から大きな歓声が上がった。
第3土・日曜に開放
当面は試験的に第3土・日曜日に開放し、NPO法人・炭鉱電車保存会(大牟田市)などの協力で、運転席に子どもたちを乗せて動かすイベントなどを開催する。利用についての問い合わせは、同社(0944-52-3366)へ。