JR九州の手描き新聞「鉄聞」が大集合! 鉄道記念館で企画展

「鉄聞」の第1号を手に企画展の開催を喜ぶ保戸田さん
九州の列車や沿線の魅力を首都圏で発信するJR九州の手描き新聞「鉄聞(てつぶん)」が、創刊から13年余りで100号を迎えた。4月15日に北九州市で始めた節目の企画展では初めて全100枚を展示しており、編集長を務める同社東京支社の保戸田麻衣子さんは「九州の魅力を再発見してもらう機会になれば」と話している。
1~100号すべてを展示
緑色の車体が特徴的な観光列車「ゆふいんの森」のイラストや、レトロで知られる門司港駅近辺のグルメ情報――。JR九州が北九州市門司区の九州鉄道記念館で始めた「JR九州『鉄聞』100号企画展」では、2011年に発行した第1号の「鉄聞」から24年12月の第100号までを初めて一斉に並べた。
鉄聞は、九州新幹線鹿児島ルートが全線開業した11年、旅行会社向けの営業を担当したことがあった保戸田さんが、東京・渋谷でフリーペーパーを扱う専門店に九州の列車を紹介するパンフレットを持ち込んだことがきっかけだった。既製品のパンフレットだったため認められなかったが、店内で手描きの新聞が目に入り、「手描きなら置いてもらえますか」と尋ねて許可を得た。
絵が上手な同僚の力を借り、第1号の素材には、11年3月に指宿枕崎線で運行を始めた観光列車「指宿のたまて箱」を採用。白と黒のコントラストが特徴の車体をA4判の用紙に大きく描き、内部の写真を添えたほか、現地の観光情報も加えて原版を完成させ、50部をコピーして専門店に持ち込んだ。
列車旅の楽しさを発信!
その後、自らも休日にイラスト教室に通って腕を磨き、1~2か月に1回のペースで発行。配布先も都内にある九州各県のアンテナショップなどに広げた。手に取る人が増えたことで、「『温かさが伝わります』と反響の手紙が届いたこともあった」(保戸田さん)という。
24年には、一般社団法人などが主催するフリーペーパーのコンテストで最高賞を受賞し、100号の発行部数は当初の10倍の500部にまで増えた。一区切りを迎え、25年からは紙媒体ではなくSNSでの掲載に切り替えた。企画展の初日を会場で見守った保戸田さんは「SNSでは週1回のペースで投稿し、今後も全国の方に九州での列車の旅の楽しさを発信していきたい」と話した。
企画展は6月16日までで、九州鉄道記念館の入館料(大人300円、4歳~中学生150円)が必要。