大牟田のにぎわい再生へ 映画のセットでカフェ&バーを開業

映画を撮影した空き店舗を一部改装したカフェ&バー

 福岡県大牟田市を舞台にした映画「オオムタアツシの青春」(9月から全国で上映予定)で、空き店舗をリノベーションして撮影に使われた同市本町1の焼き菓子店のセットが一部改装され、カフェ&バー「月と夕焼け」として4月にオープンする。映画を撮影した瀬木直貴監督は「大好きな大牟田のまちなかの活性化につなげてほしい」と期待している。

オオムタアツシの青春

 「オオムタアツシの青春」は2024年7、8月に大牟田市で撮影。焼き菓子店の開店が危ぶまれた女性や、過去を隠して大牟田に来た青年らが、難病を患う少女のひたむきな姿にふれ、変わっていく姿を描く。

 映画に登場する焼き菓子店「月と夕焼け」は、戦後に作られた新銀座商店街の空き店舗を使った。作品では、この空き店舗を登場人物たちが新しい店舗として実際に改修する場面も出てくるという。


4月にオープン予定の「月と夕焼け」


 映画のメイキング映像の撮影などを担当した大牟田市天領町のカメラマン吉田哲也さん(52)や瀬木監督らが、「大牟田を元気にする拠点にしたい」と活用策を計画。店舗は約33平方メートルで、映画の雰囲気を最大限残し、カウンターを増やしたり、料理を提供できるようキッチンを加えたりしたという。テーブル席もあり、15人前後を収容できる。プロジェクターを使ってメイキング映像を流すほか、撮影の様子を写したパネルも掲示する。


「まちなかの起爆剤に」

 店舗は吉田さんらが運営。4月のオープンからしばらくは午後6時~午前0時の営業で、肉料理や焼き鳥、アルコールを楽しめるようにする。軌道に乗れば昼間の営業も始めることにしている。

 新銀座商店街の多くは空き店舗で、新店舗がまちなかの起爆剤になることが期待されている。吉田さんは「映画撮影がきっかけで、商店街のシャッターに絵を描く計画もある」と、今後の変化を期待する。


カフェ内で話す瀬木監督(左)と吉田さん


 瀬木監督は、2019年に大牟田市動物園を題材にした「いのちスケッチ」や、大分県宇佐市などを舞台にした作品を発表してきたが、セットで作った店舗などを残して活用するケースは初めてという。瀬木監督は「大牟田の水が自分に合っているようだ。ここが、映画のPRだけでなく、新しい観光スポット、まち歩きの拠点、映画の聖地として親しまれるようになってほしい」と期待を膨らませている。


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