フィリピンの子どもたちにランドセルを 大牟田の団体が活動

フィリピンに送るランドセルの荷造りをする女性たち

 フィリピンの貧困地区で暮らす子どもたちに、中古ランドセルを送り続けている福岡県大牟田市の市民ボランティア団体「フォーリナーサポートクラブ」(21人)が、今年も各地から寄せられた32個のランドセルや衣類の荷造りを行った。2014年に始めた活動で集まったランドセルは2000個を超えた。代表の松井小百合さん(69)は「ひとりでも多くの子どもを笑顔にするため、活動を続けたい」としている。

11年で2000個超

 同市の事務所倉庫には、大牟田市教育委員会を通じて各小学校で集まったものを中心に、市内外から届けられた100個前後のランドセルと衣類、文具が保管されている。

 4月27日には、同団体の女性会員7人が、黒やピンク、紺など32個のランドセルに文具などを入れ、8個ずつ大型段ボール4個に詰めていった。隙間は衣類で埋めた。船便でルソン島まで送り、約1か月半後、現地のスタッフによって子どもたちに手渡される。輸送費は募金や寄付金で賄っている。


ランドセルを受け取った子どもたちの写真を手にする松井さん


 同団体は国際交流を目的に2005年に設立。フィリピンで7000人以上の死者・行方不明者を出した13年の台風被害への支援をきっかけに、松井さんと親しいフィリピン人女性の親類から「国や国連の支援が届かない深刻な被害に苦しむ場所がある」と知らされたことから、ランドセルなどを送り始めた。当初の数年間は、チャリティーコンサートや募金活動で寄付金も集め、破損した学校2校の改修費に充てられた。

喜ぶ姿で元気出る

 24年度までに送ったランドセルは1992個。届ける場所は、フィリピンの現地スタッフらに報告してもらっており、これまでに車で片道10時間以上の山岳地帯の学校などに届けられたという。子ども全員に渡すことができないため、くじで当たった兄から弟に引き継がれ、弟は学校で使わなくなった後、ぼろぼろになったランドセルに水を詰めたペットボトルを入れ、畑仕事をする母親に届けている事例も報告されたという。

 同団体には、親子でランドセルを届けるケースも多く、松井さんらはランドセルを抱いて笑顔の子どもたちを写したポストカードを提供してくれた人たちに渡し、大事に使われていることを伝え、国境を越えて役に立っていることや、物を大切にする心を広めている。


現地の子どもたちを写したポストカード


 松井さんは「現地で段ボールが開けられ、子どもたちが喜んでいる場面を動画で見るたびに、元気が出てくる。若い人にも運営に加わってもらって、できるだけ長く活動していきたい」と話した。

 ランドセルは、今後も受け付ける。事前に松井さん(090-8406-6383)に連絡して持参してほしいとしている。


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