「戦時資料とカルタでたどる 戦後80年」展 大牟田市で開催中

大牟田空襲の体験を描いた絵本の原画が展示された会場

 福岡県大牟田市の市立三池カルタ・歴史資料館で、企画展「戦時資料とカルタでたどる 戦後80年」が開かれている。大牟田空襲の体験を描いた絵本の原画なども展示されており、同資料館は「市民から寄せられたものや、資料館が収集した資料で、戦争と平和について考えてほしい」としている。9月21日まで。

「戦場」や「暮らし」伝える展示

 会場に設けられた「戦場コーナー」には、兵士が身につけていた鉄かぶとや背のう、図面を入れる袋、革靴や帽子、スコップなどが並ぶ。革ベルトには、数か所に銃弾が当たった痕跡が残っている。


兵士が戦場で使った背のうや飯ごうなどが展示されたコーナー


 「銃後の暮らしコーナー」にある武運長久を祈った「千人針」は、兵士が戦場で身につけ、生還した後、家族が同資料館に寄贈したという。兵士を激励するための手紙などを入れた慰問袋、女性たちが力を合わせて活動した「大日本国防婦人会」のたすきや、当時の活動を記録した写真などもある。


 1944年11月から終戦直前の45年8月まで繰り返された大牟田空襲のコーナーでは、空襲前後の市街地の様子を写した写真が並んでいる。焼夷(しょうい)弾の残骸も展示されており、梶原伸介館長は「こうした爆弾の火力はすさまじく、木造の建物が焼き尽くされたことがわかる。空襲による悲惨さが伝わる」と話した。

空襲を描いた絵本原画も紹介


企画展のチラシ(大牟田市立三池カルタ・歴史資料館提供)


 絵本の原画は約20枚。東京出身の三代沢史子さんが疎開先の大牟田市で、3歳のときに体験した空襲の夜の記憶を描いた「わすれないあの日」(2001年発売)に使われた。三代沢さんは絵本のあとがきに「幼児期に受けた戦争の傷を伝えることが、戦争のない平和な生活を考えるきっかけになれば。わたしたちの手で平和をまもりつづけようという呼びかけにしたい」と思いをつづっている。


 入場無料。開館は午前10時~午後5時。期間中は月曜(祝日の場合は翌日)と最終木曜が休館。問い合わせは、大牟田市立三池カルタ・歴史資料館(0944-53-8780)へ。


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