陸軍大刀洗飛行場の掩体壕を4月から公開 唯一現存の語り部

筑前町が整備した掩体壕の内部。奥が展望デッキ
福岡県筑前町は、太平洋戦争末期に米軍の空襲から日本の軍用機を守るために築かれた掩体壕(えんたいごう)を整備し、4月から公開する。終戦から80年となり、戦争を経験した人が少なくなる中、語り部としての役割を担う。
軍用機を空襲から守る
町によると、東洋一とうたわれた陸軍の大刀洗飛行場周辺には1945年2月頃、40~50基の掩体壕が造られたが、現存するのは同町高上の1基だけ。幅36.4メートル、長さ23.1メートル、高さ7.3メートルで、厚さ45センチのコンクリートの覆いで戦闘機や爆撃機を守った。上空の敵機から見つからないよう、外側に土を盛り、草木で覆っていたという。
民有地にあり、戦後は豚小屋や農機具置き場として使われていた。町は大刀洗飛行場戦跡保存活用計画を策定し、2016年に取得した。
戦後80年、歴史を伝える
劣化が進んでいたことから、ひび割れをセメントで補修したり、壕の内部に崩落を防ぐ鉄骨を組んだりして補強。展望デッキや、壕の外周を歩きながら見学できる園路、駐車場、トイレなどを整備した。事業費は約2億2000万円で、クラウドファンディングや企業版ふるさと納税で寄せられた資金も充てた。
3月24日に現地で「大刀洗飛行場戦跡掩体壕」の落成式を行い、4月1日から公開する。町立大刀洗平和記念館で貸し出されるタブレットの動画で、解説や当時との比較を視聴しながら見学することもできる。同館では「戦跡には当時のことを伝える力がある。フィールドワークなどに活用していく」という。
問い合わせは同館(0946-23-1227)へ。