特攻基地「知覧」の軌跡を伝える 大刀洗平和記念館で企画展
知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市知覧町)の館外企画展「飛行学校から特攻基地へ―知覧飛行場の軌跡―」が12月3日、福岡県筑前町の町立大刀洗平和記念館で始まった。筑前町と知覧町には陸軍飛行学校の本校と分校があった縁があり、飛行兵の育成の場が特攻の出撃地へ変わっていったいきさつや、福岡出身の特攻隊員について伝えている。
育成の場が出撃地に…
知覧飛行場は1941年12月に開設された。現在の筑前町などにあった大刀洗陸軍飛行学校の分教所(分校)が置かれ、練習機を使った飛行訓練が行われた。
しかし、戦況の悪化によって、45年に特攻の出撃基地に。同会館によると、沖縄戦の特攻で戦死した陸軍1036人のうち、439人が知覧から飛び立ったという。
企画展では、知覧―大刀洗間の訓練で用いた「野外航法計画要図」などの資料や写真、遺品、家族への手紙など、複製を含め約20点を公開。合わせて、特攻基地になる前の知覧の様子や特攻隊員の生活を、パネルや映像で紹介している。
また、福岡出身の特攻隊員42人について、遺影と出身地、階級、戦死した日をパネルで展示。宮崎県の都城東から出撃し、19歳で戦死した第58振武隊の今村岩美少尉が「絶対に泣いてはいけません 私は名誉ある特攻隊員です ほめて下さい 笑って下さい」と記した遺筆も並べられている。
「福岡の隊員を知って」
7日午後2時、8日午前11時からは、母が知覧高等女学校の「なでしこ隊」で特攻隊員の世話をした、同会館語り部の桑代照明さんが、特攻作戦や出撃前のエピソードなどを語る出張イベントもある。
同会館の羽場恵理子学芸員は「知覧と言えば特攻のイメージが強い。分校だったことや、福岡の特攻隊員について知ってほしい」と話している。
会期は2025年3月2日まで。入館料は大学生以上600円、高校生500円、小中学生400円。問い合わせは大刀洗平和記念館(0946-23-1227)へ。