1953年6月に福岡県久留米市などに大きな被害をもたらした水害を語り継ぐ「筑後川大水害を伝える会」が12月6日、同市の筑後川防災施設「くるめウス」で開かれた。
この水害では、大雨で筑後川の堤防が決壊し、流域で死者147人、流出全半壊家屋約1万2800戸など甚大な被害が出た。
伝える会は、市民団体「筑後川まるごと博物館運営委員会」が毎年開催している。今年は初の試みとして、九州産業大の学生たちがAI(人工知能)を使って被災者の体験を再現したアニメ動画を制作。語り部の話に合わせてスクリーンに投影することで、聴講者に当時の状況をより具体的にイメージしてもらえるようにした。
この日は、久留米市田主丸町出身で、福岡市南区在住の植村誠夫さんの体験談に合わせて、スクリーンに地図やアニメ動画を投影。当時高校生だった植村さんが、わきの下付近まで水につかりながら駅に向かう様子など四つの場面のアニメ動画と、避難した道のりがわかる地図を表示した。
水につかった体験 AIで再現
同大建築都市工学部都市デザイン工学科4年の安部好誠さんは「話に合わせて動画や地図を見ることで、若い世代にも水害の記憶が浸透していけば」と話す。
植村さんは「学生たちが最新技術で制作してくれた動画を見て、体験談の理解が深まると思う。これからも、できる限り語り部活動に取り組みたい」と話していた。
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