やってみよう!湯煎調理 災害時には温かい食事が心の支えに

ポリ袋に入った切り干し大根の煮物を取り出す森脇教授

記事 INDEX

  • ライフラインが止まっても…
  • 朝の食卓を湯煎調理で再現!
  • ポリ袋を使うレシピいろいろ

 ポリ袋に入れた食材をお湯で温める湯煎調理(パッククッキング)にチャレンジしてみませんか――。災害時にも温かい食事を簡単に作れ、袋を開いてそのまま食べれば洗い物が減るといった利点もあります。9月は防災月間です。「食の中村」として知られる中村学園大学短期大学部(福岡市)の森脇千夏教授に、調理法やレシピを習いました。

ライフラインが止まっても…

 「ライフラインが止まっても、カセットコンロがあれば温かい食事を作れます」。森脇教授がパッククッキングのポイントを教えてくれました。


湯煎で作った料理。(左端から時計回りに)切り干し大根の煮物、ハムエッグ、みそ汁、ごはん


 手順は、袋の中に食材を入れて口を結び、鍋に沸かした湯に浸して温めるだけです。湯煎調理は、「茹(ゆ)でる」「炊く」「煮る」といった加熱料理に応用できます。


 調理をする際は必ず、「高密度ポリエチレン」製の袋か、湯煎調理が可能と表記された袋を使います。どちらもスーパーなどで簡単に手に入ります。また、袋が熱で溶けないように、鍋底に皿やザルなどを沈めることが大切です。


湯煎調理ができる袋かどうか、調理前に確認する


 一つの鍋で複数のおかずを同時に作れるうえ、沸かした水は繰り返し使えて災害時に貴重な水を節約できます。袋を器に載せてそのまま食事をすれば、食器の汚れも防げます。


袋を使って食事したあとの器。洗い物が減らせる


 災害時に支給される食料は、おにぎりや菓子パンなどが多く、食中毒を防ぐため冷めた状態で運ばれます。「心身に負担がかかる時、温かいものが食べられると気分も違います」と森脇教授。「少しの工夫で、普段と変わらない家庭の味が簡単に作れます」


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朝の食卓を湯煎調理で再現!

 「ご飯にみそ汁、ハムエッグなど、朝食の献立を考えてみました。一つの鍋で1人分のメニューを作ってみましょう」。森脇教授に調理室でレシピを教わりました。


ご飯


【材料】(1人分)
無洗米50グラム、水75CC(米の1.5倍)
【作り方】
①ポリ袋に米と水を入れ、空気をよく抜きながら、袋の口付近を縛る。
②鍋底に皿やザルを敷き、食材が隠れるぐらいの水を入れる。沸騰したら①のポリ袋を入れて30~35分待つ。
③炊き上がったら袋を鍋から取り出し、5分ほど蒸らす。


ワカメのみそ汁

【材料】(1人分)
水200CC、みそ大さじ1、だしの素小さじ半分、乾燥ワカメ適量、高野豆腐適量
【作り方】
袋に材料をすべて入れ、口を結び加熱する。

ハムエッグ


ハムと生卵を入れたポリ袋。袋は端を縛る


【材料】(1人分)
卵1個、ハム2枚
【作り方】
袋に材料を入れ、口を結んで加熱。加熱時間は、卵の固さを見ながらお好みで。


切り干し大根の煮物


切り干し大根の煮物


【材料】(1人分)
切り干し大根15グラム、水45CC、だしの素少々、砂糖小さじ1、しょうゆ小さじ1
【作り方】
袋に材料をすべて入れ、口を結び15分ほど加熱する。


ポリ袋を使うレシピいろいろ

蒸しパン


湯煎調理で作った蒸しパン


【材料】(4人分)
ホットケーキミックス100グラム、バター10グラム(サラダ油でも代用可)、卵50グラム、牛乳10CC(水でも代用可)、レーズン10グラム、さつまいも50グラム
【作り方】
①さつまいもを1センチ角に切り、袋に入れて湯煎する。
②バターと卵を袋に入れ、卵白を切るようによく混ぜ合わせる。
③上記②に牛乳、ホットケーキミックスを入れてよく混ぜる。
④上記③にさつまいも、レーズンを加え、空気を抜いて湯煎する。
⑤30分加熱して完成。


ワカメと春雨彩りサラダ


ワカメと春雨彩りサラダ


【材料】(4人分)
乾燥ワカメ6グラム、春雨15グラム、コーン缶50グラム、ミカン缶50グラム、ナッツ10グラム、マヨネーズ大さじ3、酢大さじ2/3、塩・こしょう少々
【作り方】
①ワカメを水で戻し、水を切る。
②春雨はハサミで切って、ポリ袋に入れる。袋に水を入れ、湯煎して戻す。
③上記の①②と材料をすべて袋に入れて混ぜ合わせる。


切り干し大根とツナの和え物


切り干し大根とツナの和え物


【材料】(4人分)
切り干し大根30グラム、ツナ缶70グラム、めんつゆお好み、砂糖小さじ1/2、いりごま小さじ1
【作り方】
①切り干し大根を水で戻し、水を切る。
②袋に①と材料をすべて入れて混ぜ合わせる。
③めんつゆを加える。


「つらい時こそ、食事が大事。おいしいご飯を食べると心も温かくなります」と森脇教授


 森脇教授は「味が薄いと感じたら、調味料をあとから足して調整します。袋に入れる好みの分量を把握しておくと、いざという時にうまく作れます」とアドバイスします。「難しく考えず、日頃からパッククッキングに挑戦してみてください」


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