【宮崎】「伝承シール」に熱視線 三股町社協など全19種に

 地域の伝承や名所などをモチーフにしたキャラクターのイラストを描いた「伝承シール」が、宮崎県内で次々に制作されている。最初に考案したのは三股町社会福祉協議会で4年前、寄付した人に提供を始めるとSNSなどで人気となった。その後、新富、美郷両町でも社協などが作り、現在、この3町で全19種類に増えた。町のPRにもつながっている。


名所などキャラ化 収益にも一役


 三股町社協でシールの開発の中心となったのは、同社協職員の松崎亮さん。町内で仕事をする松崎さんは「地元の歴史や文化を多くの人に伝えたい」とかねて考えていた。あわせて社協の取り組みをより充実するための費用の捻出方法なども模索していた。


これまでに制作された伝承シール


 そんなとき思い出したのが、子どもの頃、買って食べていた菓子「ビックリマンチョコ」についていたおまけのシールだった。シールは背景がキラキラと光り、中央にキャラクターのイラストが描かれていた。キャラクターはさまざまあり、当時、子どもたちの間で大ブームとなった。松崎さんらは町の名所や伝承などをキャラクター化してシールにすることを思いついた。

 三股町社協は2018年、第1弾として5種類を完成させた。シールは1枚あたり縦横4.8センチの正方形で、第1弾では約80年前に同町長田に完成した梶山橋(通称めがね橋)をテーマにした「めがね橋」など五つのキャラクターを作った。イラストで描かれためがね橋は両手があり、「とびこむな~!!」と語る吹き出しもつけている。「馬渡天狗(てんぐ)」と題したキャラクターは町に伝わる天狗の伝説にちなんだ。シールの裏面にはキャラクター化した名所や伝承に関する説明文を記した。

 シールは500円の寄付に対して1枚提供し、寄付した人には、どのシールがもらえるか提供されるまでわからないようにしている。シールコレクターらの間で評判が広がって県外からも問い合わせがあり、集まった寄付は社協が行う宅食事業の経費に活用できた。


伝承シールに関する集会でその魅力などに関する説明に耳を傾ける参加者(7月、宮崎市で)

 その後、新富町でもこゆ地域づくり推進機構(こゆ財団)が20年から、町内で産卵する「アカウミガメ」や、鶏肉とニンニクで作る地元グルメ「ニンニクムシムシ」などをテーマにした伝承シール5種類(寄付額300円で1枚)を提供。美郷町では町社協が今年から、町で行われる「師走祭り」などを題材にしたシール3種類(寄付額500円で1枚)を提供している。

 シールは地域の魅力発信につながるため、自治体関係者らも関心を寄せているという。7月には宮崎市で三股、新富、美郷各町のシールの取り組みなどを紹介する集会があり、オンラインも含め約70人が参加。参加した福岡市のシールコレクター、木寺裕晃さんは3町のシールについて「一つ一つにキャラクター性があって面白い」と話した。

 松崎さんは「町外の人たちに魅力を発信するだけでなく、住民も知らない魅力をもっと伝えていきたい」と話している。

 3町それぞれのシールは宮崎市のカフェ兼コワーキングスペース「若草HUTTE」でも手に入れることができる。シールに関する問い合わせは三股町分については同町社協、美郷町分は同町社協、新富町分はこゆ財団へ。


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