【山口】ニホンアワサンゴ産卵期 周防大島町沖

触手の中に粒状の幼生を保有しているニホンアワサンゴ(藤本さん提供)

 山口県周防大島町沖に群生するニホンアワサンゴが、産卵期を迎えた。同町のNPO法人「自然と釣りのネットワーク」理事、藤本正明さんが8月14日、長さ約1センチの緑色の触手の中で、1ミリほどの黄色い幼生が多く育っているのを確認した。

 ニホンアワサンゴは日本と韓国、中国に生息する温帯性のサンゴで、同町沖にある約3000平方メートルの群生地は世界最大とされる。

 体内に卵を持った状態で、別の個体の精子をもらって受精。受精卵が1.5ミリほどの幼生になるまで体内で育てた後、海中に放出する。産卵と幼生放出は例年、10月中旬まで続く。

 環境省から自然公園指導員を委嘱されている藤本さんによると、今年初めて体内に幼生を確認したのは7月24日で、昨年より10日ほど早かった。「10年くらい前は初確認が8月下旬で、年々早くなっている。冬の海水温が上がっているせいかもしれない」と話した。

 群生地の北側部分は海の濁りがひどく、触手を引っ込めて白っぽく見えるものが目立つという。


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