【長崎】モザイク壁画の修復進む 二十六聖人記念館
開館60年を迎えた「日本二十六聖人記念館」(長崎市西坂町)の西側壁面で、長年風雨にさらされた「モザイク壁画」の修復が進んでいる。同館は西九州新幹線の開業でにぎわいをみせる長崎駅に近く、修復後は鮮やかさを増したランドマークとしても期待されている。
剥離した表面彩色
同館は1962年に完成。設計者の今井兼次(1895~1987年)が、壁画(縦、横ともに約10メートル)も手がけた。「信徳の壁」と名付けられ、中央にキリストを表す白い大きな十字架と、周囲に二十六聖人を示す大小26の十字架、迫害の炎などが、色鮮やかな陶器の破片を埋める技法を用いて描かれている。
今井は東京出身。カトリック信徒で、スペインの世界遺産「サグラダ・ファミリア」の設計者アントニオ・ガウディの功績を、日本にいち早く紹介した建築家としても知られる。
壁画に使った色とりどりの皿や鉢、タイルなどの素材は、二十六聖人が歩いた京都から西坂の丘までの道のりを今井がたどりながら収集したもので、長崎では地元の高校生らも協力したという。
今月末完成へ
修復作業は、今年5月からモザイク・美術造形専門の「遊工房」(東京都あきる野市)が取り組んでいる。欠落した部分を作り直したり、剥離(はくり)した表面を彩色したりするなどしており、今月末に完成する予定だ。