【山口】クジラ料理で感動を 下関で「感鯨料理」発表会

 近代捕鯨発祥の地とされる山口県下関市を中心に、県内で鯨肉の消費拡大やご当地グルメ化を図る活動の輪が広がっている。県飲食業生活衛生同業組合などは希少部位であるクジラの舌に注目。感動するクジラ料理を略して「感鯨(かんげい)料理」と銘打ってPRしている。

希少な「舌」をおいしく!

 1月末、下関市のホテルで感鯨料理の発表会があった。テーブルにはホテルの料理長が考案した、白ネギに舌肉を巻いた串揚げや、クジラの骨から取っただしと舌肉をチャーシューに使った鯨骨(げいこつ)ラーメンなど15品以上がずらり。関係者約100人が舌鼓を打った。


発表会で披露された鯨骨ラーメン


 参加した周南市のインスタグラマー、樫部津智江さんは「ラーメンのだしはあっさりしていておいしかった。舌の肉もコリコリして食感がよかった」と満足した様子だった。


 舌肉は「さえずり」と呼ばれる部位。上質な甘みがあるものの、下処理が難しいために捨てられることが多かった。

 2019年7月の商業捕鯨再開に伴う鯨肉の供給増加を受け、関係者は舌肉をご当地グルメとして活用するとともに、廃棄量削減に貢献しようと、昨年5月からレシピを開発。舌肉の名称も、牛肉の牛タンをヒントに「鯨舌(げいたん)」と名付けた。

2月末まで「くじらフェア」

 組合は鯨舌を使った料理を広めようと、県内の飲食店約100店舗にレシピを紹介。2月28日まで各店舗が参加し、「ぶちうま!くじらフェア」と題して鯨舌料理を提供する取り組みを行っている。

 宇部市の飲食店「やまぐち酒場一代目豊(ゆたか)」では、鯨舌の竜田揚げを出している。下ゆでした鯨舌にショウガをもみ込み、特製ダレに一日つけ込んだ。かんだ途端、肉汁とサクサクの衣が食欲をそそり、田中雅敏店長は「店の人気料理になった」と喜ぶ。


「やまぐち酒場一代目豊」が提供している鯨舌の竜田揚げ


 県ぶちうまやまぐち推進課は「クジラを食べるなら山口と認知されるよう、感鯨料理を広めていきたい」と意気込む。組合の青木光海理事長も「クジラ料理が県民の誇れる料理になってほしい」と期待を寄せる。


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