【熊本】県全体の活性化に期待 熊本空港の新ビルが開業

 熊本空港(熊本県益城町)の新しい旅客ターミナルビルが3月23日、開業し、関係者は空港を中心とした熊本県全体の活性化に期待を込めた。新型コロナウイルスの影響で激減した旅客数は回復しつつあり、課題だった交通アクセスも鉄道延伸計画が動き出した。運営会社は2051年度に622万人達成を掲げており、国際線の路線と利用増が鍵を握りそうだ。

飲食や買い物 エリア整備


テープカットで開業を祝う関係者ら

 「安全性と快適性を両立できた。旅行の通過点ではなく、目的地となる空港を目指したい」。23日朝にあった式典後、運営会社「熊本国際空港」の新原昇平社長は報道陣の取材に力を込めた。新ビルは、搭乗手続きの待ち時間を短縮できる最新機器や搭乗直前まで飲食や買い物を楽しめる待合エリアを整備した。

 この日は台湾・台北間のチャーター便も運航され、県職員らが横断幕を掲げて歓迎した。台湾行きに搭乗した熊本市中央区の男性(75)は「国内線と国際線が一緒で便利になった」と話した。

国際線がカギ

 空港の旅客数は20年度、新型コロナの感染拡大で前年の3割以下の85万人にまで減った。国の観光需要喚起策もあり、今年度はコロナ禍前の7割程度まで回復する見込みだという。


開業を祝って催された航空会社社員らによるオーケストラ演奏

 1月には国際線では約3年ぶりとなる韓国・ソウル便が再開した。運営会社は今後、中国や東南アジアの路線を誘致し、国際線を現在の3から17に増やす方針だ。

交通改善も課題

 利用者増には熊本市中心部までの交通手段の改善も課題だ。JR豊肥線からの鉄道延伸計画では蒲島知事が昨年12月、肥後大津駅(大津町)から分岐するルートでの整備を正式表明した。完成すれば、現在はリムジンバスなどで約1時間の熊本駅と空港の所要時間が約44分に短縮される。

 新年度からは路線の設計や環境影響評価(環境アセスメント)が本格化する。県は27年度の着工、34年度の工事完了を目指す。沿線で進む半導体受託製造・台湾積体電路製造(TSMC)の新工場建設で、台湾からの観光、ビジネス客の利用も見込んでおり、県交通政策課の坂本弘道課長は「空港の発展にもつながるよう、一刻も早く鉄道を整備したい」と話した。


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