【大分】温泉地・別府で地獄蒸しメンマ! 9月に発売へ

 日本一の湧出量と源泉数を誇る温泉地、大分県別府市ならではのメンマづくりが始まった。荒れた竹林を整備し、竹が成長して硬くなる前の「幼竹(ようちく)」を温泉の蒸気で蒸す調理法「地獄蒸し」を経て商品化する。今年9月に発売予定で、取り組みを進める一般社団法人の担当者は「泉都・別府ならではの商品。たくさんの人に知ってほしい」と意気込んでいる。

幼竹を活用したい

 「イノシシが穴を掘ってタケノコを食べてしまった場所もありますよ」

 同市の山間部に位置する東山地区にある竹林で今春、同市の一般社団法人「B-biz LINK(ビービズリンク)」の担当者、内山恵美さん(49)が、メンマの材料となる幼竹を探しながら斜面を歩いていた。


メンマに使うための竹を切り取る内山さん(別府市で)

 同法人は、地域の魅力発信や観光客誘致に向けた活動などを行っている。東山地区では住民が高齢化し、竹林が十分に管理できずに荒れているところも多い。横浜市出身で昨年夏に別府市に移住してきた内山さんは、荒れた竹林を見て「幼竹を活用したい」と考え、同法人が一部の竹林を整備し竹が育ちやすい環境に整えた。

 メンマに使うのは、地面に顔を出して1~2週間たった長さ1.5~2メートルほどの幼竹。下部は硬くて食べられないため、皮を除いて上から約70センチ程度までを使い、節の部分も除く。

 一般的には釜でゆでるが、今回は代わりに温泉の蒸気で蒸す。内山さんが、同市ではタケノコを皮ごと地獄蒸しで調理しているという話を聞き、「竹からメンマをつくることに利用すれば、商品に別府らしさが出て良いのではないか」と考えた。

「地獄蒸し」とは
 温泉の蒸気を利用して肉や海鮮、野菜などの食材を蒸す調理法で、別府に古くから伝わっている。温泉地として有名な鉄輪(かんなわ)地区には、一般の人が地獄蒸しの食事を楽しめる施設「地獄蒸し工房鉄輪」があるほか、宿泊者が体験できる宿もある。

別府土産の定番に

 メンマづくりには、温泉を管理する地元の企業「地熱ワールド工業」と共同で開発した二つの専用蒸し釜を使う。釜一つで一度に50キロの竹を蒸すことが可能だ。温泉の蒸気を使うため、燃料が必要なく、ゆでるよりも短時間ですむところが利点という。


温泉の蒸気で竹を蒸して、メンマにするために開発された釜

 1時間程度かけて蒸し、塩漬けなどの工程を経て2か月ほどで完成する。塩漬けは50年以上漬物をつくっている市内の「別府漬物」が、味付けは市内で地獄蒸し料理を提供する「蒸士茶楼(むしちゃろう)」が担当する。

 商品名は「別府地獄蒸しめんま」に決まった。9月に東京ビッグサイト(東京)で開かれる催しに出品後、地元の土産店などで販売する予定だ。

 内山さんは「地獄蒸しにすることで軟らかく仕上がり、おいしくできた。別府のお土産の定番として成長させ、観光振興と竹害防止に役立てたい」と話している。


advertisement