【佐賀】佐賀藩とカメラの物語 佐野常民歴史館で企画展

 佐賀市川副町の「佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館」で、「日本のカメラはじめ」と題した企画展が開かれている。同館は「佐賀藩とカメラの結びつきに焦点を当てた」と狙いを説明している。

 企画展では、江戸の絵師・司馬江漢が、オランダから伝わった装置「カメラオブスクラ」(写真鏡)について、親交のあった佐賀藩士山領主馬(やまりょうしゅめ)に紹介した手紙(画像複製)を展示。「絵を描くのに役立つ。とても貴重なものだ」などと記している。


司馬が山領あてに「カメラオブスクラ」の良さを伝えた手紙(下)

 写真鏡は、箱に開けた小さな穴から差し込む光が、反対側の壁に像を映し出す現象を利用したもので、カメラの原型になったとされている。絵師たちが活用したといい、会場では当時の写真鏡(日本カメラ博物館所蔵)の実物を見ることができる。

 一方、佐賀藩が設置した理化学研究所「精煉(せいれん)方」(佐賀市多布施)の責任者だったのが佐野常民。軍備の近代化とともに、写真技術を高める研究にも取り組んだ。後に日本赤十字社を創設する常民は、山領の孫娘と結婚している。


佐賀藩の精煉方で使われていたとみられるカメラ(中央)

 同館学芸員の近藤晋一郎さんは「司馬江漢から山領主馬に始まり、本格的にカメラの研究に尽力した佐野常民。カメラを軸にした人のつながりにも注目してほしい」と話している。

 企画展は9月10日まで。毎週月曜休館。入場料は大人500円、小・中・高校生200円。8月27日午後1時半から、県立博物館・美術館の福井尚寿館長による講演「江戸の奇人、司馬江漢がみた佐賀」が行われる。問い合わせは、佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館(0952-34-9455)へ。


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