【山口】改修中の瑠璃光寺に実物大の五重塔シートを設置
山口市の香山公園で、70年ぶりとなる屋根の全面葺(ふ)き替えなど「令和の大改修」が進められている国宝・瑠璃光寺五重塔について、市は塔を覆う足場の前面にシートを設置した。塔の実物大のシルエットが描かれており、市の担当者は「観光客らが内側にある実物を想像するのに役立てば」と話している。
多様な文化を表現
高さ24.3メートル、横幅18.3メートルの防火性メッシュシートで、8月上、中旬に塔の正面に張られた。塔のシルエットは白色で描き、背景は淡い青や緑の多彩色でこの地に根付いた多様な文化を表現しているという。
8月末に初めて公園を訪れたという山口大教育学部1年の学生は「自然の緑色の中に白色の塔がデザインされていて、不思議な感じが面白い。改修後の姿も見に来たい」と話していた。
塔は室町時代の守護大名、大内義弘を弔うために1442年に建てられた。改修工事は2026年3月まで続く予定で、シートは25年10月頃まで活用される。毎日、日没から午後10時までライトアップもしている。
市は多くの人に塔の歴史的価値と大内文化を広く知って、観光に来てもらおうと、今回の改修を機に誘客プロジェクト「昇華―shouka―大内文化」を開始。シート設置もその一環で行われた。
誘客プロジェクトを紹介するホームページも8月に開設されており、山口と大内氏との関わりや大内文化の特徴、大改修の主なスケジュールなどを解説している。
今後は、県内出身のイラストレーター・taecoさんが、塔前の広場に置かれたフェンスに大内氏の歴史と文化が学べる時代絵巻を描く。色とりどりの花を用い、大内氏の家紋をモチーフにしたモニュメント製作も予定されている。
プロジェクトの内容は随時ホームページで情報発信していく。市観光交流課の仙誉(せんよ)紀子さんは「しばらくの間、五重塔は見られないが、塔の歴史的価値や大内文化について知ってもらう様々な企画を楽しんでほしい」と話している。
第2期CF募る!
瑠璃光寺五重塔の改修費用に関する第2期クラウドファンディング(CF)が行われている。今期の目標額は2000万円。11月30日まで寄付を募っている。
事業費は約7億6000万円の見込み。国や県、山口市の補助を除く約6000万円が寺の負担で、この部分の協力を求めている。
詳細は読売新聞社のCFサイト「idea market」(アイデア マーケット)。問い合わせは瑠璃光寺(083-922-2409)へ。