【山口】宇部のプラネタリウム保存へ同好会がCF実施

 6月に閉館した宇部市勤労青少年会館で長年、市民らの天文教育に活用されてきた国産最古級のプラネタリウムについて、地元の宇部天文同好会(久幸美雄会長)が保存計画を進めている。搬出・展示に約500万円を必要としており、会はクラウドファンディング(CF)で資金調達する方針だ。

国産最古級の機器


8月の「また会おう投影会」に集まった市民ら(提供:宇部天文同好会)

 プラネタリウムは1967年に五藤光学研究所(東京)が製作した「Venus S-3」。久幸会長は「ギアとモーターと電球で作られたシンプルな構造。これほど体感的に天文を学べる機器はない」と話す。

 同館の開館に合わせて導入されたもので、以来、市内の小中学校の授業で活用されてきたほか、約20年前からは同好会が週に1回の投影会や天体関連イベントなどを開催して市民に親しまれてきた。

閉館で存続の危機に

 しかし、老朽化や耐震不足で同館は6月に閉館。市は建物を早期に解体して土地を売却する方針で、市が所有するプラネタリウムの取り扱いについては現時点で示されていないが、存続の危機にあるという。

 同好会は8月10~20日に、「また会おう投影会」と題したお別れイベントを同館で開催。1日限定50人で参加を受け付けたところ、全日程で満員となる盛況ぶりで、保存を求める声が多く上がった。

 さらに、市民や別のプラネタリウムメーカー関係者からも同様の意見が寄せられたことから、同好会は存続に向け、CFの実施を決めた。市教委社会教育課は「CFの結果を見守りたい」との認識を示す。

CFは29日まで

 9月16日現在、約60万円の支援が寄せられている。同好会は協力の返礼品として、プラネタリウムをあしらったTシャツやキーホルダー、コースター、高さ約15センチのミニチュアなどを用意している。

 CFは29日まで。専用サイト「モーションギャラリー」で募集中。同好会副会長で山口大院生の西村文音さんは「また投影会が開催できる日まで、稼働できる状態のまま保存、展示していきたい」と話す。


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