【鹿児島】元競輪選手が南大隅で観光農園 夫婦二人三脚

 競輪選手として活躍した鹿児島県南大隅町の大久保聡さん(43)が6月、観光農園「ブルーベリー農園みなみおおすみ」をプレオープンさせ、新たなスタートを切った。豊富な品種を取りそろえており、妻、志乃さん(42)と二人三脚で手入れに汗を流す日々だ。「おいしいブルーベリーを育てて、競輪の時のように多くの人に喜んでもらいたい」と意気込んでいる。

「ブルーベリー狩りを楽しんで」


農園の看板を手にブルーベリーの魅力を語る大久保さん(右)と志乃さん

 大久保さんは同町出身。県立南大隅高校の自転車競技部で本格的に競技を始めた。2001年に競輪選手としてデビュー。身長1メートル68と小柄ながら、最もグレードの高いS級に所属するなど活躍し、22年に引退するまで122勝を積み重ねた。

 競輪の最高速度は時速70キロといわれ、選手同士の体がぶつかったり、落車したりと、選手にはケガがつきものだ。それにもかかわらず、大久保さんは落車しても鎖骨を折ったことがないくらい頑丈な体が自慢で、体づくりの基本となる食への関心も高かった。

 新型コロナウイルスの感染が拡大していた20年頃、これまでのプロ生活を振り返り、「今からの20年間も新しいことにチャレンジし続けたい」と決意。偶然手にした本でブルーベリーの鉢植え栽培を知り、引退後に農園を開くことを決めた。

 レースの合間に福島や群馬、山口、福岡県などで栽培農家を訪問。ブルーベリー200鉢の苗木を購入し、観光農園の開設を見据えて自宅で栽培を始めた。トレーニングルームをキッチンに改装し、志乃さんがジャムやパンなどの加工品を作る態勢も整えた。

38品種・350本を栽培

 観光農園は南大隅町根占横別府で、6月1日にプレオープンした。紫の実を付ける一般的な「レガシー」のほか、甘酸っぱい「ピンクレモネード」や大粒の「トワイライト」など、広さ約1300平方メートルの敷地内で38品種、350本を栽培する。車いすの高齢者やベビーカーの家族もブルーベリー狩りを楽しんでもらえるように、地面を平らにしたという。


大人の指先ほどの大きな実をつける品種も(南大隅町のブルーベリー農園みなみおおすみで)

 大久保さんは「ブルーベリーは栽培から5、6年で味が安定すると言われており、これからどんどんおいしくなる」と話す。志乃さんは「自分好みの品種を探して味の違いを楽しんでほしい」と来園を呼びかけている。

 入場料(40分の試食付き)は、中学生以上1000円、小学生500円。持ち帰りは1パック500円。栽培状況に合わせて開園する。問い合わせは大久保さん(070-8986-8014)へ。


advertisement