【佐賀】豆腐みたい?白いバウムクーヘン 嬉野で開発中

 佐賀県嬉野市で障害者施設を運営する社会福祉法人「このめ会」が、地元名物の温泉湯豆腐にちなんで豆乳などを使ったバウムクーヘンの開発を進めている。発売に合わせて12月にも西九州新幹線の嬉野温泉駅近くに菓子・土産物店をオープンする予定で、「白いバウムクーヘンで観光客を呼び込み、障害者の働く喜びにつなげたい」と意気込んでいる。

名物・温泉湯豆腐にちなんで


障害者が製造した豆腐などを販売する店内で「新商品開発を働く喜びにつなげたい」と話す古川さん(右端)

 2002年設立のこのめ会は市内で障害者のグループホームや就労継続支援B型施設「このめの里」などを運営。このめの里の利用者約40人が、豆腐製造や農作業、移動販売のほか、市などから受託した箱詰めや除草、清掃作業に取り組む。中でも施設で製造する嬉野産大豆100%の豆腐を使った温泉湯豆腐が自慢で、利用者が栽培する野菜や米、茶などとともに法人が運営する店舗「のぎく」で販売している。


福祉販売所「のぎく」

 新商品の開発は、コロナ禍で箱詰め作業の受注が減ったことがきっかけ。「のぎく」から徒歩5分の場所に嬉野温泉駅が開設されたことも重なり、観光客が喜ぶ土産物を製造することで収入源を確保するとともに、嬉野温泉の活性化にも役立ちたいと発案したという。施設長の古川信子さんは「新しいことにチャレンジし、それが収入にもつながることで、障害のある人たちに仕事へのやりがいや社会に関わる喜びが生まれる」と説明する。

専門家の協力を得て

 専門家の力を借りようと、武雄市の「カジシナジーレストラン」のオーナーシェフでソムリエの梶原大輔さんに協力を依頼した。嬉野市出身の梶原さんは快諾し、作業所の見学や豆腐の試食を重ねて、豆乳を使ったバウムクーヘンを提案。「試食した豆腐がとてもおいしく、豆乳の香りも良かった。豆乳を生かせばよい土産ものになると思った」と振り返る。


試作中の豆乳を使ったバウムクーヘン


 「のぎく」は改装して店内に新たにキッチンを設け、店名も「だいずのおんど」に変更する予定。バウムクーヘンは、洋菓子大手「ユーハイム」(神戸市)が人工知能(AI)を活用して開発した専用オーブンをレンタルして店で焼き上げる。試作中のバウムクーヘンは豆腐のような白い色とすっきりした甘さが特徴で、現在は味のアレンジを増やしているところだ。


改修費調達へ寄付募る

 改装費などを調達するため、クラウドファンディングで300万円を目標に8月末まで寄付を募っている。古川さんは「バウムクーヘンを中心に観光客や地元の人たちが気軽に立ち寄れる店にして、嬉野温泉を一緒に盛り上げていきたい」と話していた。

 問い合わせはこのめ会(0954-42-1380)へ。


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