【鹿児島】700年前のトイレ遺構を確認 阿久根の遺跡で
鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センターは、阿久根市波留の諏訪ノ前遺跡で、約700年前のトイレの遺構を確認したと発表した。内部の土壌から当時食べられていたとみられる植物や、寄生虫の卵が確認され、科学分析を行って裏付けた。南九州(鹿児島、宮崎、熊本県)で、同年代のトイレを科学的に認定したのは初めてという。
同遺跡は標高約34メートルのシラス台地上に立地し、鎌倉時代から安土桃山時代にかけての集落跡が確認されている。南九州西回り自動車道の建設工事に伴い、広さ約6600平方メートルで発掘調査が行われた。
トイレとみられる土坑(穴)は直径1.6メートル、深さ約1.3メートルで、遺跡内で六つ確認した。そのうち二つの土壌の底から、アブラナ科やソバ属の植物の花粉、ヤマモモの種、回虫や鞭(べん)虫の卵を高い濃度で確認でき、ふん便が積もった層と判断したという。
土壌を分析した結果、当時の人々が寄生虫の卵が付着した野菜や米、ソバ、ゴマなどを食べていたことが判明したという。これらの土坑は建物跡とみられる場所の外に点在しており、同センターの担当者は「当時の人々の食生活や生活様式が分かる貴重な資料」としている。