【大分】豊後高田市が「住みたい田舎」で5年連続1位に
地方への移住情報を紹介する月刊誌「田舎暮らしの本」(宝島社)が発表している2025年版の「住みたい田舎ベストランキング」(人口1万人以上3万人未満のまち)で、豊後高田市が世代別の3部門と総合の全4部門で5年連続1位に輝いた。13年の歴史の中で、5年連続は全国初。180事業を超える移住支援策が評価を支えており、市は「常に先を見据え、住みやすさを追求したい」と勢いづいている。
「全国的に注目される市になった」
日本記念日協会が認定している「豊後高田市移住(い=1、じゅう=10)の日」の1月10日、佐々木敏夫市長は市内の居酒屋であった移住者5家族13人との懇話会で誇らしげに話した。
移住者の1人は、長男の小学校進学を見据えて2024年4月、沖縄県・久米島から家族4人で移り住んだ。その後、三男が生まれて現在は5人暮らし。「自然豊かで満足。住民もちょうどいい距離感で、一緒に子どもの面倒をみてくれてありがたい」と話す。現在は在宅でリモートワーク中だが、「将来は農業ができればいい」と希望を語った。
186の移住・定住策
ランキングは人口規模別に7グループに分け、移住支援策や医療、子育て、移住者数など314項目のアンケートの回答を数値化している。
人口約2万2000人の豊後高田市は2013年の第1回以来、常にベスト3入りしている。全国547自治体が参加した今回のランキングでも、人口1万人以上3万人未満の154自治体中、4部門すべてで最高点を獲得した。
186項目に及ぶ移住・定住策があり、高校生までの医療費無料、中学までの給食費無料など、全国トップクラスの子育て支援策が充実していることが評価された。
同市は1950年には5万人近い人口を抱えていたが、2010年には半分以下にまで減少。少子高齢化も進み、「何もしなければ消滅してしまう」との危機感から11年度から移住支援に力を入れ始めた。
移住者は24年4月までの10年間で計1339世帯2903人。24年4月時点で市の人口の約13%になる。
人口の社会増減では、大分県内で唯一、11年連続で転入者が転出者を上回る「社会増」を達成。人口戦略会議が昨年公表した消滅可能性自治体からも脱却した。
同市では移住者に寄り添った心の通い合う相談体制も整備。職員が生活面の不便がないかを随時聞き取っては、利用できそうな支援策を提案している。
小野政文・同市地域活力創造課長は「移住者のニーズを聞き、生活サービスの改善を積み重ねるという基本を大事にしている」と話す。
県内の自治体ではこのほか、宇佐市が「人口5万人以上10万人未満のまち」で総合など3部門で1位を獲得。人口枠を外した総得点では、豊後高田市が3位、宇佐市が4位だった。ランキングは、発売中の同誌2月号に掲載されている。