【大分】「空飛ぶクルマ」商用飛行へ 九州初の連携協定
「空飛ぶクルマ」を開発中の新興企業スカイドライブ(愛知県豊田市)と大分県、JR九州の3者は2月6日、同県内での商用飛行に向けた包括連携協定を結んだ。2028年度の運航開始を目指す。日用品や災害時の緊急物資の輸送手段としても活用したい考えだ。
新興企業と大分県、JR九州が締結
大分県庁で締結式が開かれ、スカイドライブの福沢知浩・最高経営責任者(CEO)と佐藤樹一郎知事、JR九州の古宮洋二社長が出席した。スカイドライブは既に大阪府、兵庫県と実用化に向けた協定を結んでいるが、九州の自治体とは初めて。
計画では、28年度にも別府市内や、同市と由布市を結ぶ航路で「エアタクシー」として運航したり、別府湾で遊覧サービスを行ったりする。発着の拠点はJR九州が駅周辺に所有する土地や商業施設の屋上などを想定しており、今後、具体的に詰める。
最高時速は100キロ・メートル程度で、車で約40分の別府―湯布院(由布市)間を15分ほどで結ぶ。30年度以降は大分空港などにも航路を広げ、「将来的にはタクシー並みの料金を目指す」としている。
開発中の機体は全長11.5メートル、高さ3メートルの電動式で、定員は操縦士を含めて3人。1回充電すれば15~40キロ飛べる。4月に開幕する大阪・関西万博の会場でのデモ飛行が決まっており、26年度に量産に必要な「型式証明」を取得して商用化につなげたい考えだ。
温泉地で知られる別府、由布の両市は観光が主力産業で、佐藤知事は「地域の発展や産業振興につながれば」と期待を寄せた。福沢CEOは「空飛ぶクルマの先進地として需要を取り込みたい」と力を込め、古宮社長は「必ず成功させ、他の地域にも広がるきっかけにしたい」と述べた。