【佐賀】化粧で笑顔に! 生活困窮者にコスメを無料配布

 佐賀県は2月から、支援団体などと連携し、化粧品を経済的な理由などで購入できない人に無料で届けるプロジェクト「佐賀県コスメギフト」を始めた。商品の入れ替えなどで廃棄されるものを活用し、運営のための基金も創設。持続可能な活動を目指していく。

廃棄品を活用


プロジェクトを通じて届けられる化粧品の一例。化粧水やマスカラ、アイライナーなどが入っている


 プロジェクトは、県が2013年から進める「コスメティック構想」の一環。


 コスメ業界では、新商品の登場や商品の入れ替えで、年間出荷額の2~3割に当たる約5000億円分の化粧品が廃棄されているという。

 こうした化粧品を経済的に困っている人に「ギフト」として無償で届ける「コスメバンクプロジェクト」を21年から運営しているのが、一般社団法人「バンクフォースマイルズ」(東京)。ギフトには、化粧品やスキンケア、ヘアケア用品など8~10点が入っており、母の日とクリスマスに合わせ、年間6万世帯に配布しているという。

継続へ基金設立

 県内でも22年12月、このギフトを届けるプロジェクトが初めて行われ、その際に需要が多かったことから、持続可能な取り組みにしようと、県が連携することとなった。

 今回のプロジェクトでは、一般社団法人「ジャパン・コスメティックセンター(JCC)」(唐津市)が窓口となって、バンクフォースマイルズから、化粧品の提供を受ける。化粧品の梱包(こんぽう)と発送作業は、実証実験として、県内の障害者就労支援施設に委託する。2月下旬頃、県内の支援団体などを通じて1000セットが配布される予定。


プロジェクトの概要を説明する東室長


 また、プロジェクト発足に合わせ、民間から寄付を募る「佐賀コスメギフト基金」が設立された。今後、梱包作業の工賃に充てたり、化粧品を受け取った人に向けての使い方のセミナーを開いたりする。


支援を深めるきっかけにも

 県庁で2月3日、記者会見があり、県コスメティック産業推進室の東泰史室長がプロジェクトの概要を説明した。プロジェクトリーダーの藤岡継美・JCC事務局長は「届ける時の会話で、困りごとをうかがうこともあると思う。支援を深くしていくきっかけにもしたい」と話した。


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