【熊本】分裂酵母から“初”の麦焼酎! 熊本大が開発

開発した焼酎を手に笑顔を見せる谷氏(左)と多田専務

 熊本大が新たに開発した分裂して増える酵母から醸造した本格麦焼酎「ジャポニカスバーレイS34」が完成した。フルーティーな味わいが特徴で、開発した同大の谷時雄特任教授(分子生物学)の研究グループは、「分裂酵母焼酎で焼酎全体の魅力発信に貢献したい」と語った。

福岡県の「天盃」が協力

 同大によると、世界には約1300種類の酵母があり、多くが一つの個体から出芽で増える。分裂酵母はほとんどなく、麦焼酎の醸造に使われるのは初めてだという。福岡県筑前町の酒造会社「天盃」が協力し、300本限定で製造した。


開発した分裂酵母を使った麦焼酎

 谷氏は2016年から本格的に分裂酵母を使った酒造りを始めた。「ジャポニカス」という分裂酵母に紫外線を繰り返し照射して変異させ、果実のような香り成分を多く作る株を開発した。芋焼酎や米焼酎、クラフトビールを次々と商品化した。

フルーティーな味

 当初目指したのは、バラのような香りがする麦焼酎だった。香りを強く出す新たな株「クマダイS34」を開発し、変異前の約8倍の香り成分を記録したが、実際に醸造すると、リンゴや桃といった果実の香りとなった。理由は不明だが、天盃の多田匠専務は「水の硬度や元々、蔵にすみ着いている酵母が影響した可能性がある」と推測する。


試飲した感想を語る谷氏

 熊本大で3月14日に発表会があり、関係者が試飲した。谷氏は「今までの焼酎に比べて香りが立ち、甘みがある。今後も新しい香味の株を開発したい」と意欲を語った。

 麦焼酎は税込み3500円(720ミリ・リットル)。熊本大や鶴屋百貨店で購入できる。


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