【熊本】自動運転バス導入へ実証運行を本格化 熊本市
バスの運転手不足を解消しようと、熊本市が自動運転バスの実証運行を本格化させている。6月末まで続けてデータを蓄積し、2027年中の本格導入に向けて活用する。
熊本城周辺5地点を周回
実証運行は熊本城周辺の「桜の馬場 城彩苑」「熊本城 二の丸駐車場」「熊本城 三の丸駐車場」など5地点を周回するコースで4月中旬に始めた。運賃は無料で、予約は市のLINEで受け付ける。午前10時~午後4時、1日6便走行している。
市交通企画課によると、バスにはレーダーやカメラが約40か所に設置されており、周囲にいる人や車の動きを確認して走行する。最大時速は35キロ。AI技術も駆使し、人の顔の向きから進行方向を推測して安全走行につなげる機能も備えている。
運転手不足に対応
導入検討の背景の一つは、市内で深刻化している路線バスの運転手不足だ。市などによると、20年度に922人だった運転手は、23年度には799人となり、約120人減った。さらに、長時間労働の上限規制による「2024年問題」の影響もあり、減便での対応を余儀なくされる事業者もあったという。
市内のバス事業者などでつくる共同経営推進室の担当者は「事業者は利益が出なくても交通機能を維持するために運行している。自動運転バスの導入はありがたい」と期待を寄せる。
当初は2月に実証運行を実施する予定だったが、1月30日の試験走行中、市役所前の交差点で起きた事故を踏まえて延期されていた。自動運転バスが左折時に歩行者を確認して減速、停止したところ、後続の路線バスと接触しており、担当者は「安全が確認されるまでは一時停止する自動運転バスの特性の周知不足が原因だった」と分析している。
事故の反省を踏まえ市は、自動運転バスの特性をまとめた動画やイラストを市のホームページで公開。3月に5日間行った短期間の実証運行はトラブルなく走行した。
市交通企画課の大川望課長は、人通りの多い市中心部での走行を念頭に「多くの人に体験してもらうことで、自動運転バスへの理解を進めたい」としている。
「しろめぐりん」平日全便運休へ
熊本城周辺を走る周遊バス「しろめぐりん」について、熊本都市バス(熊本市)は6月2日~7月18日の平日は全便を運休すると発表した。原因は運転手不足で24年2、3月以来、2度目。土日・祝日はこれまで通り運行する。
発表によると、運転手の教習や育休取得などが重なった影響で一時的に欠員が生じることを踏まえて決定した。周遊バスは熊本駅が発着地で、桜町バスターミナル、熊本城・二の丸駐車場、市役所前などを巡回。平日は16便、土日・祝日は22便を運行している。24年6、7月の平日は、約6600人が乗車したという。
同社の担当者は「お客様にはご迷惑をおかけして申し訳ない。引き続き、運転手の処遇改善や採用活動を強化していく」と話した。
また、同社は土日・祝日の路線バスについても減便を決めた。