【大分】津久見市の新特産品「お石灰せんべい」限定販売 

 国内屈指の良質な石灰石の産地・大分県津久見市をPRしようと、市観光協会が新たな特産品を数量限定で販売している。その名も「つくみお石灰(せっかい)せんべい」。人情味あふれる「おせっかい」な市民性との語呂合わせから生まれた。市や協会はセメント原料となる石灰産業を軸とした観光振興に注力しており、関係者は「話の種にして津久見の名を広めてほしい」と期待している。

人情味あふれる方言


おせっかいな方言の焼き印が押された「つくみお石灰せんべい」。裏面はセメントをイメージして灰色の砂糖がデコレーションされている


 「どげえな?(調子はどうですか)」「やおうねえなあ(大変ですね)」


 県産の小麦粉や卵を使った生地を焼き上げた素朴な甘さのせんべい。その表面に押された焼き印の文言は、市民があいさつ代わりに相手を気遣う方言だ。

 市の公認キャラクター「つくみん」と、石灰石を運ぶ大型ダンプカーの絵もあしらった。裏面は黒ごまパウダーを配合した灰色の砂糖でデコレーションし、セメントを表現するこだわりよう。5月上旬に、6枚入りは限定250箱(税込み750円)、10枚入りは限定100箱(同1080円)で売り出した。

地域の産業をPR

 市では、国内生産量の約19%を占める年間約3000万トンの石灰石が採掘されている。江戸時代に発見されたと伝えられ、セメントをはじめ歯磨き粉、乾燥剤など日用品に幅広く活用されてきた。全盛期の昭和初期~後期には、人口の約7割が石灰産業関連の職に従事していたとされ、「セメント町」の住所も存在する。


津久見市内にある石灰石鉱山の様子(同市観光協会提供)


 市内には灰色のソフトクリーム「セメントソフト」や、特産のみかんを使ったどら焼きなどもあるが、どれも賞味期限が短いものばかり。日持ちする菓子を作ろうと、市観光協会は2021年度、石灰石やセメントにちなんだアイデアを市民らに募集し、応募197件から「お石灰せんべい」を選んだ。

 今回の商品は第2弾。タレにつけたマグロの赤身をのせる同市の郷土料理「ひゅうが丼」風味にした23年の第1弾では、小分けの袋に方言を記載した。400箱限定で売り出すと、約4か月間で完売した。

 今回は、方言の解説と、石灰石がセメントになるまでを360度画像で見られる「WEB社会見学」の2次元コードを記載したカードを添えた。商談の手土産にも使えるよう、鉱山の碁盤ヶ岳をデザインしたパッケージに高級感も持たせた。紺田猛・同協会事務局長は「県外ではあまり知られていない市の基幹産業を一目で分かってもらえるように工夫した。手に取ってもらえたらうれしい」と話す。

 同市の「里の駅つくみマルシェ」とJR津久見駅横の市観光協会事務所で販売している。問い合わせは津久見市観光協会(0972-82-9521)へ。


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