【佐賀】攻め来る症状に「歩」の一手 県が啓発動画を作成

 歩かないと、忍び寄るもの――。佐賀県は、県民に生活習慣病などへの危機意識を持ってもらおうと、将棋の対局を扱ったシニカルな啓発動画を作成した。ちょっとした距離でもつい車を使いがちな日常を見直して、健康のために歩くことをうながしている。


佐賀県が制作した動画の一場面

糖尿病疑い、骨折患者の割合 全国最下位

 県の施策名を冠した「さが健康維新県民運動杯 歩王戦」の一局。糖尿病、骨折、メタボ、寝たきり、足腰の衰え……。攻め込んでくるのは、歩かないことで起こりうる症状の数々だ。

 県が厚生労働省のデータを基にまとめた数値などによると、糖尿病の疑いが強い人の割合が9.23%(2021年)、骨折患者数は人口1万人あたり125.8人(23年)と、いずれも県は全国ワースト1位となっている。

 こうした状況を受け、県はこれまでにも、ウォーキングアプリ「SAGATOCO(サガトコ)」を開発するなど、積極的に歩いてもらうことへの啓発を行ってきた。

プロ棋士監修 駅や空港で放映

 今回の動画は、「歩かない」ことへの危機感を持ってもらおうと作成され、ターゲットを「働く世代」に絞った。歩兵をはじめ様々な駒を動かして攻めてくる先手に対し、後手は歩兵を全く動かさない(歩かない)まま劣勢に。盤面は、プロ棋士に監修してもらったという。

 15秒と30秒バージョンがあり、今後、テレビCMなどで放送されるほか、JR佐賀駅と佐賀空港のデジタルサイネージでも放映される。

 県健康福祉政策課の内田学課長は「動画が歩くことを継続するきっかけになり、県民の健康寿命の延命にもつながってほしい」と話している。

 動画は県のホームページでも公開されている。


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