食の恵みを産地で体感 福岡市が飲食店向け見学ツアーを開催

参加者に甘夏の栽培方法を説明する農家の永田さん(左)

 福岡市が市内産農畜産物のPRに力を入れている。飲食店関係者が農家から食材の魅力を直接聞くことができる産地見学ツアーも開いており、年間約20品目を取り扱う。能古島で行われた甘夏のツアーには、市内のホテルやカフェ、日本料理店など計8店舗のシェフらが参加し、みずみずしい甘夏に舌鼓を打った。

生産者が直接説明

 「甘みと酸味のバランスが良くて、香り高いのが強み。4、5月は大きいミカン、5月中旬から6月には逆に小さいミカンの方が甘みが凝縮していますね」

 4月下旬、さわやかな香りが広がる甘夏畑で、農家の永田敬道さん(39)が栽培方法や味の特徴を説明した。能古島の甘夏は、木に実らせたまま果実が熟すまで待つ「樹成(きな)り」で栽培される。収穫から出荷まで貯蔵期間がある一般的な甘夏に比べて、酸味や香りが抜けないうちに出荷されるという。

 その場で試食したカフェ「REC COFFEE」(福岡市)のシェフ・手塚祐太郎さん(38)は「苦味もあり、味の輪郭がしっかりしている。生菓子でジュレやジャムに使え、キャラクターが生かせるかもしれない」と新メニューの想像を膨らませた。フランス料理店を営む福山剛さん(55)は「酸味があるからドレッシングに合うかも。粒の食感も楽しめる。生魚と相性が良さそう」と話した。

 農林水産省によると、福岡市の農業産出額(2023年、推計)は62億7000万円。全国20の政令市では14番目で、札幌市(66億8000万円)や仙台市(65億3000万円)と規模が近い。小松菜やダイコン、イチゴなど鮮度が肝要となる野菜・果物の生産が多く、大消費地でもあることから、市は市内消費にも力を入れる。農産物PRの関連予算として2026年度は1590万円を計上している。

<福岡市内産の主な農畜産物>
 ▶博多和牛▶はかた地どり▶アスパラガス▶甘夏▶枝豆▶かつお菜▶カブ▶カリフラワー▶キャベツ▶小松菜

新メニューも誕生

 飲食店でも積極的に使ってもらおうと、24年度からは関係者を産地に招待するツアーを開始。約20品目の農畜産品を対象に、これまでに45回を開催し、延べ71店舗が参加した。参加者が、これらの食材を使ったメニューを各店で提供するフェアも年2回開催している。

 能古島のツアーに参加したホテル「グランドハイアット福岡」(福岡市)は、甘夏を使った4種類のスイーツやパンを考案。5月中旬、報道機関に披露した。


「グランドハイアット福岡」が考案した甘夏の新商品


 果汁と爽やかなバジルでアクセントを利かせたジュレをパンナコッタにのせた「ヴェリーヌ」、果肉をふんだんに使ったほろ苦いショコラタルト、皮を削って香り付けしたアーモンドクリームのデニッシュなどで、6月中にホテルで販売する予定。


 考案した同ホテルのペストリーシェフ・中園彰さん(39)は、「甘さと酸味がしっかりしていて、すぐに商品のイメージが湧いた。ツアーのおかげで、自分では選ばない食材の味を知るきっかけになってありがたい」と語った。

 市は26年度、フェアの開催回数を増やすことも計画しており、市農林水産局政策企画課の佐々田智弘係長は「取り組みを通じて、福岡市の食材の魅力を伝え、多くの人に手に取ってもらいたい」と話している。


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