浸水被害の軽減に期待 久留米市街地の治水対策3施設が始動

6月から運用を始めた地下調節池=福岡県提供

 福岡県久留米市の市街地を流れる金丸川と池町川流域の浸水被害軽減を目的に県が整備を進めてきた三つの治水対策施設が完成し、6月から運用を始めた。両河川の流域は2018年から4年連続して内水氾濫が発生したほか、23年7月の記録的大雨でも浸水被害が起きており、被害軽減が期待されている。

地下調節池・地下放水路・排水機場

 運用を始めたのは<1>けやき通り地下調節池<2>地下放水路<3>排水機場――の3治水対策施設。



 地下調節池は、市道の地下に2月に完成した貯水施設。貯水能力は約2万4000トン(25メートルプール約80杯分)で、大雨時に池町川の水を引き込むことで川の水位上昇を抑える。

 地下放水路は長さ約730メートル、内径5.5メートルで市道の地下に5月に整備された。大雨の際に池町川や雨水幹線の水が放水路を通じて、筑後川に直接排水される。これにより、池町川の水位が上がるのを抑制する。

 放水路の出口に設けた排水機場は、筑後川の水位が上昇し、水門が閉じた後でもポンプで強制的に筑後川に排水する。排水能力は1秒間で約6トンあるという。

過去の水害を教訓に国、県、市で連携

 県によると、両河川の流域では、18~21年の4年間で計約5700戸の床上・床下浸水被害が発生。23年も約1100戸が浸水被害に遭った。


広範囲に冠水した久留米市内(2020年7月)

 こうした過去の水害を踏まえ、両河川流域の浸水対策を検討してきた国と久留米市、県は20年3月、3者が役割分担して内水対策を講じる総合計画を策定。18年7月の西日本豪雨と同程度の雨量を想定し、国は排水機場のポンプの増設、市は雨水幹線などを整備してきた。

 県では6月に運用を始めた三つの治水対策施設を含め五つの対策を進めるため、20~26年度に総額220億円を投じてきた。

 池町川近くが地元という男性(61)は、相次ぐ水害を受け、引っ越したという。男性は「毎年のように水害に見舞われており、心身に不調をきたした人もいる」と話した。流域沿いに住む女性(75)は「県がこうした対策を進めていることは知らなかった。住民の安全につながればありがたい」と期待した。

 一連の事業について県久留米県土整備事務所災害事業センター・災害事業第1課の斉藤一則課長は「地域の水害リスクが低減すると考えられる。一方で大雨は激甚化、頻発化しており、早めの避難行動を心がけてほしい」と話している。


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