地域が香るジンを自らの手で 久留米の男性が酒類製造免許を取得

導入した蒸留器について説明する高橋さん

 福岡県久留米市の高良山(こうらさん)一帯で間伐された竹や、久留米絣(かすり)の染料の藍などを使った変わり種のクラフトジンを企画・販売してきた同市の起業家・高橋米彦さん(46)が4月、酒類製造免許を取得した。それ以前は、県外の業者に蒸留工程を委託していた。自身の手で製造を始めた高橋さんは「ようやくスタートラインに立てた。地元の資源や人々の思いを紡いでいきたい」と力を込める。

スタートラインに

 久留米市内を流れる高良川沿いにある「高良川蒸留所」。4月29日朝、蒸留器内には、茶色い液体が見えた。八女杉の木材チップや和紅茶のほか、様々なハーブ、スパイスをアルコールに一晩漬け込んだものという。スイッチを押すと、器内の温度が上がり、気化したアルコールが上部の管を通って冷やされ、隣の器に透明な液体がこぼれ落ちた。


蒸留されたシダージン


 今回蒸留したのは、「シダー(杉の)ジン」。原料の八女杉はかつて地元の工芸品に使われるなど、地域の産業を支えてきた。他方で、林業が衰退すると手入れされない山林が増え、土砂崩れを引き起こすリスクも高まる。「山を守ることが川や海、まちを守ることにつながる」。林業従事者たちが大切にしてきた考えに共鳴し、暮らしとともにあった八女杉を取り入れた。


地元にフォーカス

 高橋さんが第1弾となる「バンブー(竹の)ジン」を発売したのは2024年8月。放置竹林が問題視されている高良山周辺で間伐された竹を使ったもので、25年1月には国重要無形文化財・久留米絣の染めに使われる藍を使用した「インディゴ(藍色の)ジン」をリリースした。


バンブージン(右)とインディゴジン


 地元の資源を生かしたクラフトジンを売り出してきたが、この頃は蒸留を静岡県沼津市の業者に委託していた。一方で「地元で造りたい」と当初から思っており、久留米市内にある実家の倉庫を改装。25年12月に小型の蒸留器を設置し、4月13日に酒類製造免許の交付を受けた。


 将来的にはもう少し大きい蒸留器を設け、全てのジンを自身の蒸留所で造るつもりだ。さらに各地から委託されたオリジナルジンの製造も見据える。高橋さんは「もっとフォーカスされるべきものや人たちがいる。地元のものを使い、さらに地域を盛り上げていきたい」としている。


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