「多くの命を救って」 生前寄付で筑後市が救急車を配備

 福岡県筑後市は、洋酒バーを経営していた同市出身の藤吉正彦さん(2023年に76歳で死去)が生前、「ふるさとのために役立ててほしい」と託した寄付金を活用して高規格救急車を購入した。市消防本部に配備し、「藤吉」の名字の一部と、治療を終え「無事」に帰るという願いを込め、「ぶじ号」と名付けた。


高規格救急車のレプリカキーを西田市長(左から5人目)に渡す藤吉さんの遺族ら

 藤吉さんは、福岡市で長年、バーを経営。約20年前に体調を崩した際、救急車で病院に搬送された。大手術の末に回復し、仕事に復帰したという。

 亡くなる数年前から筑後市に頻繁に戻るようになり、2022年11月には同市に3000万円を寄付。その際、「自分は救急車で運んでもらって助けられた。一人でも多くの命を救ってほしい」と、西田正治市長に救急車を購入するよう願いを伝えたという。

 電動ストレッチャーなどを装備し、走行中の衝撃を緩和できる最新型で、購入費は約4100万円。同本部が配備する3台の救急車のうち、1台の更新時期に合わせて購入した。

 市消防本部前で5月7日に寄贈式が行われ、車体がお披露目された。西田市長は「気持ちを知って涙が出るほどうれしかった。寄付がなければ購入できなかった。生前に披露できていたら、どんなに良かっただろう」と感謝を伝えた。

 遺族を代表し、藤吉雄二さん(64)は「救急車を見て、正彦ちゃんの思いが届いたのだなと感じた」、雄二さんの長男の大成さん(27)は「これが残したかったもの、人々の命を救ってくれるものだと実感しました」と語った。


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