大規模火災から4年 「旦過市場」再生へ新施設が7月末完成

再整備後の旦過市場のイメージ。左が現在建設中の4階建て商業施設=北九州市提供

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  • 活気とエネルギー
  • モノレールと直結
  • 運営事業者は未定

 「北九州の台所」として親しまれる旦過(たんが)市場(北九州市小倉北区)が、再整備によって大きく変わろうとしている。2022年4月19日未明の大規模火災から4年。同年8月10日夜にも火災に遭い遅れが生じたが、7月末には第一段階として4階建て商業施設が完成する。市は年内開業を目指すが、新施設の運営事業者が決まっておらず、先行きは不透明だ。

活気とエネルギー

 「ぬか炊きどうですか?」「今日は遠くから来たの?」。旦過市場の店先には、客と気さくにやり取りする店主たちの明るい声が響き、対面販売ならではの活気に満ちている。


買い物客らでにぎわう旦過市場。左側で4階建て商業施設の建設が進む


 木下茶舗もその一軒だが、3代目木下人英さん(79)は今後、店のそばで建設中の4階建て施設に店を移転させるという。


 店は22年8月の火災で全焼した。焼け跡から拾い出せたのは祖父の代から店に掲げてきた看板一つだけだった。親交がある別の店の倉庫スペースを借りて営業を再開させてきた。

 新施設には、代々受け継いだ看板を掲げたいという。木下さんは「年末のにぎわいは新しい場所で迎えたい。市場らしい対面の良さはこれからも大事にしていく」と前向きに語った。


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モノレールと直結

 旦過市場の再整備は、長年の懸案だった。今回、河川氾濫による浸水対策や建物の老朽化のため、21年に北九州市が事業着手した。

 計画では、エリアを分けた上で段階的に行われる。第一段階となる4階建て商業施設の整備以降、北九州市立大の新学部が入る5階建て建物の建設が進められる。その後も隣接エリアの区画整理や護岸整備が行われ、30年度末に事業全体が完了する見通しだ。



 4階建て商業施設は1階に市場などの約40店が入り、2階は北九州らしい食を楽しめる飲食フロア、3階以上は約130台分の駐車場となる計画だという。


 旦過エリアの新たなランドマークとなるこの建物の2階部分が、隣接する北九州モノレール旦過駅とデッキで直結する。同駅の25年度の年間乗降客数は123万人に上り、市神嶽川旦過地区整備室の担当者は「雨にもぬれず駅と市場を行き来できる。市場、駅、大学で新たな人の流れが生まれ、大きな相乗効果が見込める」と力を込める。

運営事業者は未定

 懸念もある。市は同施設の2~4階の運営を民間に委ねる方針で一括売却するとしているが、25年11月の公募では、唯一応募してきた事業者が後に「収益確保が困難」として辞退。市は当初の最低売却価格12億3800万円を8億510万円まで引き下げ、4月20日に再公募を始めたが、事業者が決まるかは不透明だ。

 施設の2階以上が稼働すれば、にぎわいの創出で年間約16億円の経済波及効果が見込めるという。一方で再公募でも売却先が決まらなければ、市は管理費などで年間約5000万円を負担することになる。


「北九州の台所」再生へ。再整備後の旦過市場のイメージ=北九州市提供


 新たな市場では、これまで市民や観光客を魅了してきたレトロな風情や心地よい雑多さを継承できるのか、懸念する声も根強い。新施設に移転するための資金捻出に悩む店もある。


 北九州のシンボルというべき市場がどのように再生していくのか、その行方が注目されている。


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