久留米の老舗酒蔵「花の露」復活へ 地元企業が複合施設を計画中

再建を進めている酒蔵のイメージ図=ベストアメニティ提供

記事 INDEX

  • 酒どころの"顔"が倒産
  • にぎわい創出へ花開け
  • 起爆剤に!高まる期待

 福岡県久留米市城島町の倒産した老舗酒蔵「花の露」を再建する動きが出ている。日本酒を含む清酒の販売量が減るなか、地元の食品卸売会社が、温泉旅館を再生させた手腕や酒蔵の広大な敷地を生かして地域のにぎわい創出を目指す。関係者は「地域を代表する『花の露』のブランドを未来につないでいきたい」と意気込む。

酒どころの"顔"が倒産

 花の露は、江戸時代の1745年(延享2年)創業で、全国有数の酒どころとして知られる城島町で最古の酒蔵とされる。町中心部に位置し、敷地面積は約2万2000平方メートル。近くの県立三潴高校へ土地を無償で譲渡するなど地域にも貢献してきた。

 代表銘柄「花の露」は筑後川の軟水を用い、ほのかに甘くふくよかな味わいが特徴だ。純米酒の部門で県酒類鑑評会の大賞や仏・パリの品評会で金賞を獲得するなど、国内外で高い評価を得てきた。


「花の露」の酒蔵


 だが、人口減少や消費者の嗜好(しこう)の多様化による日本酒離れの影響を受け、経営が悪化。コロナ禍の収束後も以前の水準まで需要が回復せず、2024年の出荷量は90キロ・リットルと最盛期の20分の1まで落ち込み、24年12月に倒産した。


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にぎわい創出へ花開け

 再建を手がけるのは、食品卸売業や旅館業などを展開する「ベストアメニティ」(久留米市三潴町)だ。花の露の土地や建物が競売にかけられていることを知った内田弘会長(69)が、酒蔵を生かした複合施設を造ることを考案。契約農家から酒米を調達できることや、三潴町などに温泉旅館を再建させた実績もあり、25年12月に落札した。

 内田会長は約30年前に同県大牟田市から久留米市に会社の拠点を移した当時から、花の露を地域ナンバーワンのブランドだと思っていたといい、「灯を消してはならないと思った。倒産の影響が地域経済に波及するのを食い止めたかった」と話す。


「花の露」の復活と複合施設開業に向け、準備を進める内田会長(右)


 計画は順調に進んでおり、26年4月、久留米税務署から酒類製造免許を交付された。27年2月に開催される日本酒のイベント「城島酒蔵びらき」に合わせて刷新した酒を披露する予定だ。酒蔵の名にあるように、花由来の独自酵母の開発・製造も目指している。


 また、酒蔵の広大な敷地を生かし、20億円以上を投じて酒蔵を改装したり、飲食店や温泉・宿泊施設、ライブハウスなどを28年秋をめどに整備したりするという。

起爆剤に!高まる期待

 こうした動きに地域住民たちも期待を寄せる。

 城島酒蔵びらき実行委員会の委員長で城島町の酒店「酒乃竹屋」を営む江上隆彦さん(52)は、「花の露と言えば城島のシンボルだった。(複合施設も)たくさんの人が城島を訪れるための起爆剤になってほしい」と完成を心待ちにする。

 内田会長から構想を聞いた花の露の13代目で元代表の冨安拓良(たくろう)さん(52)は、「酒造業や建物を生かした地域活性化の思いをうかがい本当にありがたい。これからも地域に愛され続けるブランドであってほしい」と願う。内田会長も「花の露を城島や久留米を代表するブランドに育てて、様々な人が訪れる交流の場にしたい」と話している。

国内販売振るわず、輸出は好調

 少子高齢化や若者のアルコール離れを背景に、清酒の国内の販売量は減少傾向が続いている。



 国税庁のまとめによると、販売量は、ピーク時の1975年度は167万キロ・リットルだったが、2024年度には38.1万キロ・リットルにまで減った。清酒の免許場数も24年度は1679件で、最多だった1956年度に比べて約6割減った。


 一方、近年は海外での和食ブームなどから輸出は好調だ。2024年度の輸出量は3.2万キロ・リットルに上り、14年度からほぼ倍増した。


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