NHKに認められた画家が僧侶になる 葛藤の先に見つけた居場所

記事 INDEX

  • 大学院生時代にNHKドラマで絵画指導
  • 「僧侶>画家」と「画家>僧侶」の葛藤
  • お寺を地域の居場所に

 北九州市門司区の関門海峡を見下ろすように立つ浄土真宗本願寺派「徳念寺」。副住職のとよだまりささんは、福岡県内外で活躍する画家としての顔も持つ。「僧侶と画家。二つの点を結びつけて発信していきたい」と語るとよださんに話を聞いた。


とよだまりささん

浄土真宗本願寺派・徳念寺 副住職。画家。大学院在学中にNHK連続テレビ小説「てっぱん」「純と愛」の絵画指導を担当。「福岡城さくらまつり」「博多旧市街まるごとミュージアム」などでライブペイントを行った。

大学院生時代にNHKドラマで絵画指導

 幼い頃から絵が好きで、「絵を描いて生きるのが将来の夢でした」。大阪芸術大学を卒業し、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)大学院に在学していたとき、作品がNHK関係者の目に留まり、NHK連続テレビ小説「てっぱん」と「純と愛」で、絵画指導や、劇中で使用される絵の制作を担当した。


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 「絵の世界に入ってみたくなるような、絵からストーリーが紡がれるような、そんな絵を描きたいと思っています」。とよださんの絵は色彩が豊かで、不思議な生き物たちがにぎやかに暮らす世界が楽しい。


「僧侶>画家」と「画家>僧侶」の葛藤

 画家として生きていきたいと思いながらも、実家の寺を継ぐことへの意識は常にあった。「ご門徒のおじいちゃん、おばあちゃんと話すのが好きでしたから。寺を継ぐことへの抵抗もそれほどありませんでした」


 大学院を修了すると、僧侶になるため仏教系の専門学校に入学。仏教について基礎から学んだ。

 寺を継ぐつもりで北九州に戻って来た。だが、現実を目の前に、葛藤や迷いも生まれたという。「僧侶としての生活をする中で、将来の自分に住職が務まるだろうかという不安が大きくなりました」。それから2年くらい、僧侶としても画家としても中途半端な時間だったと振り返る。


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お寺を地域の居場所に


 日々のおつとめや門徒との交流。僧侶としての経験を積むうち、視野にゆとりが生まれてきた。作品の依頼も徐々に増えている。2019年、福岡市・舞鶴公園での「福岡城さくらまつり」で7日間にわたってライブペイントを披露した。

 昨年11月には、北九州市などでつくる日中韓の文化交流事業「東アジア文化都市北九州」の関連イベントで、ピアノに直接絵を描くライブペイントを引き受けた。ピアノはストリートピアノとして、北九州市・門司港エリアに設置される予定で、誰でも弾くことができるようになるという。


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 「コロナ禍が落ち着いたら、お寺で子ども向けのお絵かきイベントを開くつもりです」。同世代や若い人とお寺との接点も増やしたいと言う。

 「地域の居場所づくりにお寺を生かしたいです。僧侶としても、画家としても、両方の自分を大切に、二つの点を大きな面に育てていけたらいい」。僧侶と画家。その間に心地よい居場所を見つけた。



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