社会に役立つロボットを! 北九州で開発プロジェクトが始動
ものづくり企業が集まる北九州市で、同市が舞台となったテレビアニメに登場するロボットをモデルとした「社会課題解決型ロボット」を製造するプロジェクトが、官民で始まった。技術者として成長する主人公の若者にならって開発に携わる若手人材も募り、ロボットを生かした新たな地域活性化策に育てたい考えだ。
めざせ!リアル「ブルバスター」
「災害や福祉の場面で活躍するようなロボットをつくりたい」
昨年11月下旬、北九州市小倉北区の小倉駅広場で行われた記者会見で、地元のバルブメーカー「岡野バルブ製造」(北九州市)で取締役新事業開発本部長を務める菊池勇太さんが力強く宣言した。武内和久市長もビデオメッセージで「壮大なプロジェクト。市も全力で応援し、大成功を祈っている」と激励した。
10~12月にBS日テレなどで放送されたアニメ「ブルバスター」は、経営が苦しい害獣駆除の零細企業で働く技術者が、自ら開発した二足歩行型のロボット「ブルバスター」で正体不明の巨大生物に挑む内容。2018年に映像監督の中尾浩之さんが書いた小説が原作で、中尾さんが知人の紹介で訪れた北九州市の風景を気に入り、物語の舞台に選んだ。
ロボット開発のきっかけとなったのは、小説を読んでブルバスターのファンになった菊池さんだった。昨年6月、中尾さん側に「ものづくりの技術を生かして実物をつくりたい」と提案し、中尾さん側も快諾。さらに、もともとブルバスターの広報活動などに協力していた市も加わることが決まった。
「ものづくりの街」の力を結集!
ブルバスターは巨大生物の駆除が役割だが、菊池さんらは「社会に役立つロボット」を目指し、二足歩行型とするかどうかも含めて具体的なロボットの形状などを詰める。一緒にプロジェクトを支える技術者の公募を1~2月に始める予定で、他のものづくり企業や、高専や大学など教育機関との連携も、市とともに進める方針だ。
完成まで数年に及ぶ可能性もあるが、菊池さんは「ブルバスターの主人公のような若き技術者を探し、力を合わせて開発したい」と意気込み、中尾さんも「物語がリアルの世界に近づいており、とにかくワクワクしている」と期待を寄せている。