糸島の野菜を被災地・福島にお届け 住民ら「求められる限り続けたい」

福島県に送る大根を収穫する阪井さん

記事 INDEX

  • 震災の翌年から360回超
  • 避難住民の話がきっかけ
  • 今も困っている人がいる

 東日本大震災で被災した福島県に、福岡県糸島市の住民らが地元産の野菜を届ける活動を続けています。震災翌年の2012年に始め、360回を超えました。震災から10年。メンバーは「求められる限り続けたい」と話しています。


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避難住民の話がきっかけ

 糸島市北西部の畑で3月1日午前、近くの住民ら約10人が収穫したばかりの大根やブロッコリー、レタスなどを四つの段ボール箱に次々と詰めていました。送り先はいずれも福島県内の被災者宅です。


学生らと発送の準備を進める阪井さん(右)

 活動は、同市で「アロマの工房 香(かおり)の宮」を営む阪井麻紀さんが中心となり、2012年10月に始めました。関東方面から糸島に避難してきた母親たちに原発事故が起きた福島県の状況を聞き、「糸島からできることはないか」と考えました。

 その頃、形や大きさが規格外で出荷できない野菜があることを知り、そうした野菜を農家から譲り受けて被災地に送ることを発案。賛同した住民らと祝日を除く毎週月曜、約20キロ分を箱詰めして送るようになりました。


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今も困っている人がいる

 当初は数人程度に送っていましたが、評判を聞いた被災者から要望が相次ぎ、多いときでは30人ほどに発送。譲り受ける野菜が足りない場合に備え、13年からは自分たちでも栽培、収穫するように。現在は10人程度に送っています。

 受け取る側の負担は送料のみ。届いた野菜を毎回、約20人の母親たちに配っているという福島県いわき市の千葉由美さんは「九州からの善意は本当にありがたいし、これからも続けてほしい」と話します。


「自分たちにできることをやっていきたい」


 震災から10年となり、阪井さんは被災地への関心が薄れることを心配しています。「被災地には今も困っている人がいて、誰かが支えなければいけません。これからも自分たちにできることをやっていきたいです」と力を込めました。


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