九州北部豪雨から8年に 九博で復旧の歩みをたどるパネル展

復旧工事の様子を伝えるパネル

 福岡県朝倉市や東峰村などで甚大な被害が出た九州北部豪雨から8年になるのを前に、道路や河川の復旧の歩みを紹介するパネル展「復旧から復興へ」が、太宰府市の九州国立博物館で始まった。

「復興」へ~写真や地図で解説

 九州北部豪雨は2017年7月に発生。県によると、筑後地方北部から大分県西部にかけて線状降水帯が発生して記録的な豪雨となり、福岡県内では死者・行方不明者が39人、家屋被害が2521棟に上った。

 パネル展は、約1805億円をかけた復旧事業が24年度までに完了したことを機に、県朝倉県土整備事務所などが主催。被害が大きかった朝倉市の杷木松末、杷木志波などの被災状況を振り返り、土石流などで被害を受けた河川、道路、砂防を元の状態に戻す原形復旧、次の災害を防ぐために機能を強化する改良復旧について、写真や地図で解説している。

 25年3月には、最前線で活動した職員らが登場し、思いを伝える動画も制作し、会場で放映している。



 当時、被災状況の調査にあたり、パネル展を企画した同事務所の富松勇也・災害事業室長は「どう復旧し、完了させたかを伝えることで住民の安心感につなげたい。それが復興という次の段階に踏み出すことになるというメッセージを込めた」という。

 展示は6月29日まで(休館日を除く)。観覧無料。

原鶴地区に新たな排水ポンプ

 大雨が降る度に浸水被害に遭ってきた朝倉市の原鶴地区に、雨水を排出するポンプが新たに導入された。

 原鶴地区は、筑後川と原鶴分水路に囲まれた約25ヘクタールのエリアで、原鶴温泉の旅館や入浴施設の大半が位置する。2012年以降、浸水を繰り返し、最も被害が大きかった23年には1.63ヘクタールがつかり、長期休業を余儀なくされた旅館もあった。


原鶴地区に新たに導入されたポンプ


 ポンプは2台で、関連工事を含めて約3億円で市が導入。1975年と2010年に設けられたポンプがあったが、近年の激しい降り方には対応できなくなっていた。新旧を合わせ、地区内の調整池から分水路へ1分間に98トンの雨水を排出できるようになる。

 6月9日に現地で式典があり、排水を実演。原鶴温泉旅館協同組合の井上善博組合長は「今後は安心して日々の暮らしや仕事を続けられる。感無量」と述べた。


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