三連水車を後世に、育て!アカマツの森 九大と朝倉市が植樹

三連水車の模型を手に、森に託す思いを語る知足教授

 福岡県朝倉市のシンボル・三連水車を永く後世へつなごうと、九州大学と同市が、調達が難しくなっている部材のアカマツを育てる森をつくる。2月22日に初めての木を植え、50年後に切り出して水車に使うことを目指す。

調達が困難に、価格も高騰

 三連水車は江戸時代の1789年、筑後川の水を引く堀川用水に築造された。今も現役で稼働し、水の流れを動力源に、水面より高い位置にある農地へ水をくみ上げる。三連水車を含む3群7基の水車群は、世界かんがい施設遺産に登録されている。

 同市で甚大な被害が出た2017年7月の九州北部豪雨で水車も被災したが、1か月後に再び回り始め、復興の象徴として市民を勇気づけた。

 5年に1度作り替えるが、軸に使うアカマツはマツ材線虫病の蔓延(まんえん)などで減少。さらに、軸に用いるには直径が66センチ必要で、年輪の中心が真ん中になければならないという条件もある。

 46年にわたって製作してきた水車大工の妹川幸二さん(68)らによると、30年ほど前から地元のアカマツが手に入りにくくなり、四国産や島根県産を使ってきた。25年に作り替えた三連水車の軸は熊本県産で、価格もこの10年だけで2倍以上に高騰。地元では、維持に手間と費用がかかる水車を電動ポンプに替えるべきだという意見が出たこともあったという。

文化と歴史、思いをつなぐ


東峰村から森へ移植するアカマツ


 230年を超える伝統が途絶えることを危惧した九大芸術工学研究院の知足美加子教授(60)(芸術学)、農学研究院の渡辺敦史教授(57)(森林遺伝育種)と市は24年6月、地元由来の遺伝子を持ったアカマツを育てる「文化継承の森づくり」の計画をスタート。福岡市西区の農学部のほ場で、英彦山で採取した球果(松ぼっくり)から苗木を育てている。まだ幼いことから、今年は東峰村で自生していたアカマツを、森をつくる小石原川ダム左岸の朝倉市有地に移植する。


 森づくりの財源は文部科学省の研究費で、アカマツだけでなく、地元の祭事や伝統行事に欠かせないカシやシュロも育てる計画だ。

 九州北部豪雨の後に結成された九大復興支援団のメンバーで、災害流木を使った彫刻などを手がけてきた知足教授は「水車の材料だけでなく、木、水、人にまつわる文化や歴史、思いを未来へつなぐ森にしていきたい」と話す。


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