メロンパンを楽しむ最適解を求めたらバズった 誰もが二度見するマスクパン

 「パンの香りをずっとかいでいたい」「新型コロナの感染を防ぎたい」。そんな二つの願いを叶える商品「マスクパン」がSNSや海外メディアで話題になりました。メロンパンをマスクに用いる斬新なスタイルは、福岡県の女子大学生のアイデアから生まれました。ヒットの要因は「楽しそうなことを形に」という純朴な思いでした。

子どもたちのアイデアを形に

 マスクパンを発売したのは、子どもたちのアイデアを事業につなげるために設立された「悟空のきもち THE LABO」(大阪市)。「寝落ちするほど気持ちいいヘッドスパ」として知られる「悟空のきもち」から派生した会社です。


「悟空のきもち THE LABO」は子どもの発想の実現を手伝おうと生まれた

 LABOは神奈川県藤沢市の合宿施設などを拠点に8~22歳の約30人が活動しています。メンバーの太田旭さんは「大学がリモート授業になってからは共同生活のようになりました。毎日いろいろなことを考え、遊んでいるような感覚です」と話します。


「遊んでいるような感覚で楽しい」と太田さん


 商品開発のほか、販促のPRや問い合わせの対応なども自分たちですべて行います。共同生活の費用も、マスクパンなどアイデア商品の売り上げで賄っているそうです。


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メロンパンを最大限に楽しむ

 マスクパンは、生花の花弁を長持ちさせる「園芸用花びら液」に続く第2弾の商品です。考案したのは、福岡大2年の永野天実さんと、福岡女学院大2年の小森田知里さんです。

 高校からの友人で、ケーキ作りを一緒に楽しみ、「メロンパンが好き」というのも共通点。商品化のきっかけは「メロンパンを最大限に楽しむには、どうすればいいのか」と話し合ったことでした。


マスクパンを考案した永野さん(左)と小森田さん

 メロンパンの魅力は「香り」と内側の「フワフワ感」だと意気投合した2人。大好きなメロンパンを鼻に押し当てて香りを存分に楽しんでいると、鼻と口元を覆うパンがマスクのように見えました。

 「おもしろマスクとして、商品化できるかも」

 ほかのメンバーにも好評で、あれよあれよという間に本当に商品化することに。永野さんは「やっていて楽しかったし、『くだらないことで笑ってもらえればいいかな』という気持ちでした」と振り返ります。


メロンパンがくり抜かれ、息苦しさを感じることなく香りが楽しめる

 メロンパン専門店「Melon de melon」の協力を得て商品化が実現。あくまで「メロンパンの最高の楽しみ方」を提案した商品で、自宅で使うことを推奨しています。

 「マスクをうたうなら実用性も試そう」と工業試験場で飛沫(ひまつ)防止性能を検証すると、市販のマスクと同程度の効果が認められたとのこと。ただし、屋外で使用した場合には、ウイルスなどが付着する可能性がある外側は食べないように求めています。


マスクとしての有効性を工業試験場で検証した(提供:悟空のきもち THE LABO)


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遊び心がバズりにつながった

 今年3月に着想し、発売は6月。この間、試作品を着用して"市場調査"も実施しました。藤沢市の江ノ島を歩くと、すれ違うほぼずべてのグループが反応し、「あれ、メロンパンじゃない?」「かわいい!」と話題にするのが耳に届いたそうです。東京で5月に行った配布イベントでは、用意した200個が10分ほどでなくなりました。


江ノ島を歩くと、多くの人に二度見されたという(提供:悟空のきもち THE LABO)

 販売を始めるとSNSで話題になり、6月分の300個はすぐに売り切れました。現在は受注生産で対応していますが、それでも7月分の受け付けはすでに終了しました。海外メディアでも取り上げられ、問い合わせの半数は外国語のメールだといいます。

 予想を上回る反響に、永野さんと小森田さんは「遊びの延長のつもりだったけど、コロナで気分が沈んでいた人が少しでも笑ってくれたならうれしい」と笑顔です。


マスクパンを着けて笑顔のメンバー

 遊び心から生まれ、大きな注目を集めたマスクパン。太田さんは「大人のまねをしても勝てないけど、発想の自由さなら勝負できると思います。アイデアはまだまだあるので、これからもみんなを楽しませたいです」と話しています。

 マスクパンは5個入り1800円(税込み)で、送料は全国一律800円です。



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