「博多」を感じる新店舗 山笠を見守ってきた石村萬盛堂本店がリニューアルオープン

リニューアルオープンした石村萬盛堂本店

記事 INDEX

  • 追い山のタイムを計る決勝点
  • 博多に触れる「無邪気な間」
  • 本店だけの「つるのこのこ」

 銘菓「鶴乃子」で知られる老舗菓子店「石村萬盛堂」の本店(福岡市博多区)がリニューアルオープンしました。「博多のにぎわいを!」との思いを込めた新店舗は、限定スイーツのほか、「博多」を感じる内装など楽しい仕掛けがいっぱいです。

追い山のタイムを計る決勝点

 1905年(明治38年)創業の石村萬盛堂。マシュマロ生地で黄味あんを包んだ「鶴乃子」は博多銘菓として親しまれ、すっかり定着した「ホワイトデー」(3月14日)は石村萬盛堂が「マシュマロデー」として提案したのが始まりともいわれています。


山笠の熱気で沸く旧本店の周辺

 長い歴史を刻む本店は、博多祇園山笠のクライマックス「追い山」の決勝点「廻り止(まわりどめ)」に位置し、博多の夏祭りとともに歩んできました。店舗の老朽化などから建て替えが決まり、約2年半の工事を経て7月30日にオープンを迎えました。


店の内外からよく見えるようになった追い山の計測所

 新店舗は、ホテルも営業する9階建てビル。一新された店内には、追い山の順位を決するタイム計測所が旧本店時代と同じ位置に設けられ、追い山が行われる7月15日のみ、路上にせり出す構造になっています。櫛田神社の神職らごく一部の関係者だけが上れる特別な場所が、店の内外からよく見えるようになりました。


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博多に触れる「無邪気な間」


山笠や博多にまつわる品々が並ぶ「無邪気な間」

 店内で目を引くのは、中央にあるガラスで囲まれた空間です。素直で開けっぴろげな博多っ子をイメージし、「無邪気な間」と名付けられました。


かつて使われていたお菓子の型

 この一画には、石村萬盛堂の様々なお菓子とともに、山笠や博多にまつわる品々が並んでいます。かつて使っていたお菓子の「型」、初代から現在までの鶴乃子のパッケージデザイン、マシュマロデーの広告など、博多のお菓子の歴史に触れられます。


新店舗の象徴「ぷりちゃん」

 店内のところどころには、両手を広げて喜ぶ子どものような姿の「ぷりちゃん」が。江戸期の聖福寺住職として知られる仙厓の絵をモチーフにした新本店の象徴で、無邪気な心をもつ博多っ子らしさを表現しています。


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本店だけの「つるのこのこ」


本店限定の「つるのこのこ」(税込み750円)

 オープン直後から若者らの人気を得ている新名物が、本店限定で味わえる「つるのこのこ」。自慢のマシュマロと、アイスクリーム、カスタードが織りなす新感覚スイーツです。器に浮かんでいるような球体の部分は、山笠を中心にみんなの思いが一つになった様子をイメージしているそうです。

 食べてみると、ふわっとした食感とやさしい甘さが口いっぱいに広がります。江戸時代から続く「光安青霞園茶舗」の茶葉を使った「博多冷茶」とのセットを注文すると、甘さと苦みのハーモニーを楽しめます。


「博多冷茶」とのセット(税込み980円)も好評

 リニューアルオープンに先駆けて発売した新商品も話題です。博多手一本の掛け声「祝うてさんど」から名付けた「祝うてサンド」で、ほろ苦いキャラメルクリームとキャラメリゼしたクルミを手形のクッキーに挟んでいます。口に運ぶと、博多手一本のシャンシャンという響きを連想させる食感です。


新商品「祝うてサンド」(2個入りで税込み540円)

 建て替え工事の間、新型コロナウイルスの感染が広がり、山笠の追い山行事も2年続けて見送られました。この逆境下でも、「博多の風景が戻ってきたね」と喜んでもらえるような店づくりを心がけてきたといいます。新本店では、お菓子を販売するだけでなく、人の交流が生まれる広場として講演などのイベントを考えているそうです。

 石村萬盛堂の担当者は「お客様がお菓子を通して博多の歴史に触れ、笑顔になってくれたらうれしい。地元の人に愛される店にしていきたいです」と話しています。



店名 石村萬盛堂本店
所在地 福岡市博多区須崎町2-1
営業時間 9:00~18:00
公式サイト 石村萬盛堂


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